22年のユーロ圏成長率、欧州委が4%に下方修正

欧州委員会は10日に発表した冬季経済予測で、ユーロ圏の2022年の域内総生産(GDP)実質伸び率を4.0%とし、前回(11月)の4.3%から0.3ポイント下方修正した。21年4~6月期から続く景気回復のペースが、新型コロナウイルスの感染拡大や物価の急上昇、サプライチェーンの混乱で鈍ると予想。とくにエネルギー価格の急騰による物価上昇を警戒しており、インフレ率予測を大幅に上方修正した。(表参照)

23年の予想成長率は2.7%で、前回の2.4%から引き上げた。EU27カ国ベースの予想成長率は22年が4.0%、23年が2.8%。22年は0.3ポイントの下方修正、23年は0.3ポイントの上方修正となった。

ユーロ圏の22年の予想インフレ率は3.5%。欧州中央銀行(ECB)が目標とする2.0%を大きく超える水準で、前回の2.2%から1.3ポイント引き上げた。

欧州委のジェンティローニ委員(経済担当)は声明で、「多重の逆風が今冬の欧州経済を冷え込ませている」と述べ、新型コロナの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大と物価上昇、サプライチェーン混乱が域内経済に及ぼす影響への懸念を示した。

欧州委はサプライチェーン混乱による半導体などの不足が、少なくとも22年上期中は続き、物価上昇の主因となっているエネルギー価格の高騰も当初の予想より長期化すると指摘した。

一方、物価上昇は22年1~3月期にピークを迎え、エネルギー高騰とサプライチェーン混乱の影響も次第に弱まると目されることから、インフレ率が10~12月期には2.1%まで縮小するとの見通しを表明。23年には目標水準を下回る1.7%になると予測している。

ただ、ウクライナ情勢の緊迫化も含めて経済の先行きが不透明であることを強調。ジェンティローニ委員は「(景気を巡る)リスクは依然として高い」と述べた。

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