米IBMは7日、ロシアにおけるすべての事業を停止したと発表した。アップル、デル、グーグル、メタ、ティックトックなど、ウクライナ戦争を理由にロシア事業を中止・縮小した200社強の列に加わることになる。 アーヴィンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)によると、IBMは自社のウクライナ従業員及び業務委託パートナー、近隣の中東欧諸国の従業員同士が情報提供し合える「リソースマップ」の立ち上げに参加した。戦闘地域から逃れるのに必要な宿泊・交通情報、食料・物資の入手先などが調べられる。 また、社員に対し国際赤十字への寄付も呼びかけた。企業としてはすでにチェコの「ピープル・イン・ニード」とポーランドの「ポーリッシュ・ヒューマニタリアン・アクション」の両非政府組織(NGO)に各25万ドルを送金したという。 イェール大学経営大学院が7日発表した撤退企業リストにはすでに200社以上が名を連ねる。また、「未撤退」企業としてコカ・コーラ、ヒルトン、ハイアット、マリオット、マクドナルド、ペプシ、スターバックス、ユニリーバなどがリストアップされている。米調査会社モーニング・コンサルトが2月28日発表した世論調査では、米国人の75%が企業のロシア事業ストップを望んでおり、これらの企業に対する風当たりが強まりそうだ。 同大のジェフリー・ソネンフェルド教授(経済学)は、1980年代にも大手企業200社がアパルトヘイト(人種隔離政策)を理由に南アフリカから撤退した事実に触れ、これらの企業が「大きな経済的代償を払ったことが十分に評価されていない」と指摘。そのうえで、企業の撤退はロシアのウクライナ侵攻に影響を与える手段となりうるが、あくまでも各国政府による対ロ制裁、対ロ政策変更という大きな流れがあってこそ、効果を発揮するという見方を示した。