ハンガリー議会選、与党圧勝でオルバン首相続投へ

ハンガリーで3日に実施された議会選挙(定員199)は、予想に反して与党が大勝し、ヴィクトル・オルバン首相(58)の続投が確実になった。選挙管理委員会が開票率99.0%時点で発表した得票率は、フィデスとキリスト教民主人民党(KNPD)の連立与党が53.3%と、野党6党連合の34.9%を大きくしのいだ。極右政党の「われらが祖国運動(MHM)」も議席獲得に必要な6.2%を獲得した。小選挙区を合わせると与党連合の議席数は135と、憲法改正に必要な3分の2を維持できる見通しとなっている。独自路線を貫くオルバン首相の続投で、EUはハンガリーとの摩擦(まさつ)解消を期待できなくなった。

選挙戦終盤の争点はロシアのウクライナ侵攻にシフトした。オルバン政権は国連のロシア非難決議で賛成票を投じる一方、自国を経由したウクライナへの兵器供与を拒否。EUとロシアの間で均衡を保つことに尽力している。

与党は「野党の要求を容れてウクライナへ兵器を供給すれば、ハンガリーが戦争に巻き込まれる」と主張した。野党連合は「北大西洋条約機構(NATO)なしにハンガリーの防衛は不可能」という立場に立ち、「オルバン首相の非協力的な姿勢がNATOのハンガリーに対する信頼を揺るがす」としてウクライナ支援の積極化を訴えた。投票結果からみると、国民は世界的危機のなか、内政安定を優先したもようだ。

今回の選挙は、「打倒オルバン」を旗印に、ヨッビク(右派ナショナル)、モーメントゥム運動(中道リベラル)、「新しい政治の形(LMP)」(環境リベラル)、「ハンガリーのための対話(PM)」(中道左派)、民主連合(DK、左派リベラル)、社会党(MSZP、中道左派)の野党6党が連合した。南部ホードメゼーヴァーシャールヘイ市場で保守派・無所属のペーテル・マールキザイ氏(49)を統一首相候補に擁立し、健闘が予想されていた。

ただ、ハンガリーではオルバン政権が誕生した2010年以来、選挙法が多数派有利に改定されている。今回よりも得票率が低かった2018年の選挙(44.9%)と14年の選挙(49.3%)でさえ、改憲議席数を手にすることができたほどだ。

欧州安全保障協力機構(OSCE)の選挙監視団は、18年の前回投票と同様、選挙を「自由だが公正でない」と評価する方向だ。前回は、選挙運動で政府が与党を宣伝したり、メディア報道で与党が明確に優先されたりしたことが批判の対象となった。

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