ドローン世界最大手の中国DJIは4月26日、ロシアとウクライナでの事業を一時停止すると発表した。戦闘における同社製品の利用を避けるためと説明している。同社の動きはロシアから撤退する西側企業に追随するもので、中国企業として例外的な姿勢を見せている。
DJIは自社のドローンについて民生用だと主張しているが、ウクライナとロシアの双方が同社のドローンを戦闘目的で用いているとみられる。ウクライナのフョードロフ副首相は3月、同社に対しロシアへのドローン売却を控えるよう求めるツイートを出していた。
DJIのドローンに搭載された検知システム「AeroScope」は他のドローンや操縦者の探知や監視に使用できる。ウクライナはロシア軍が同システムをウクライナ側のドローンの操縦者を攻撃するために使う可能性があるとしている。
これに関連し、独家電量販店メディアマルクトはロシア軍がDJIのドローンを使用していることを理由に同社製品の取り扱いを中止した。これに対しDJIは、同社がウクライナ軍の位置情報をロシア側に渡したとする情報を否定するとともに、同社は製品の軍事目的での使用を認めないとの声明を発表している。
人権監視団体はDJIについて、中国政府が新疆ウイグル自治区で行っているウイグル人に対する監視活動を支援していると批判してきた。米国財務省は昨年12月に同社を制裁の対象とし、米国人による同社株の取引を禁止した。
一方、中国のタクシー配車サービス大手Digi Globalは、ロシアでの事業中止を一度は決定したものの、西側の圧力に屈したとの国内批判の高まりを受け方針を撤回している。