英携帯3位ボーダフォン、4位スリーと統合交渉か

英携帯電話大手ボーダフォン・グループが、英国事業を香港の複合企業CKハチソンホールディングス傘下の同業スリーと統合する方向で交渉しているもようだ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が12日、事情に詳しい関係者の話として報じた。英3位のボーダフォンUKと4位のスリーの統合が実現すると、英国の携帯電話サービス市場は最大手EEと2位のO2との3社体制になる。

ボーダフォンは欧州とアフリカを中心に22カ国で携帯電話事業を展開している。5G通信網などへの投資がかさむ中、同社は欧州最大のアクティビスト(物言う株主)として知られる投資会社セビアン・キャピタルから事業の簡素化や収益の改善を迫られている。ボーダフォンのニック・リード最高経営責任者(CEO)は今年に入り、統合により経営の効率化を図るため、英国やスペインなど欧州の複数市場で合併の可能性を探っていると語っていた。

英携帯市場ではハチソンが2015年、スペインのテレフォニカ傘下のO2を買収し、傘下のスリーと統合する計画を発表した。しかし、欧州委員会は携帯大手が4社から3社に減ることで競争が阻害され、消費者と業界全体の不利益につながる恐れがあるとして、計画を阻止した経緯がある。

ただ、欧州の通信事業者はインフラ投資を促進するためライバルとの統合を模索しており、国際競争力の観点から規制当局の姿勢にも変化が見られる。英通信・メディア監督機関Ofcomは2月、携帯市場における4社体制に固執せず、条件によっては大手同士の統合を容認する方針を示した。今後の審査では大手が4社から3社に減るという理由で合併を阻止するのではなく、取引を認めた場合に市場にどのような影響が及ぶかを詳細に分析したうえで総合的に判断すると説明している。

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