ウクライナは11日、ロシア産天然ガスの欧州輸送パイプラインである国内東端のソフラノフカ中継点の使用を停止した。ロイター通信によると、通常、欧州向けガス全体の8%が同中継点を経由しオーストリア、イタリア、スロバキアおよび他の東欧諸国向けに輸送されている。ロシアのウクライナ軍事侵攻以来、ウクライナ経由でのガス輸送に支障が出るのは初めてだ。
ウクライナのガス供給システムを運営するGTSOUは前日、親ロシア派分離主義者が支配するドンバス地方のソフラノフカ中継点でガスがロシア軍に横領されているため閉鎖し、ロシア国境のスッジャ中継点に全量を集中させたい考えを明らかにしていた。
ロシア国営天然ガス最大手ガスプロムによると、11日のウクライナ経由欧州向けガス出荷量は前日の9,580万立方メートルから7,200万立方メートルに減少したものの、輸送は止めていない。通常の輸送への支障はなく、従来通り供給義務を果たしているという。
ロシア産ガスの欧州への輸送ルートはウクライナ経由のほか、ベラルーシ経由でポーランドに入るヤマル欧州パイプライン、バルト海経由でドイツに入るノルドストリーム1、黒海を通りトルコ経由でブルガリアに入るトルコ・ストリームがある。ガスインフラ・ヨーロッパ(GIE)によると、昨年の欧州連合(EU)天然ガス輸入量の45%をロシアが占め、約1,550億立方メートルに上った。域内のガス貯蔵量は現在37%となっている。