欧州委員会は16日に発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2022年の域内総生産(GDP)実質伸び率を2.7%とし、前回(2月)の4.0%から1.3ポイント下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーなどの価格上昇が加速し、景気回復の足を引っ張ると判断した。(表参照)
23年の予想成長率は2.3%で、前回の2.7%から引き上げた。EU27カ国ベースの予想成長率も22年が2.7%、23年が2.3%となり、それぞれ4.0%、2.8%から下方修正した。
ユーロ圏経済は新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けたが、社会・経済活動の制限が緩和され、経済再開が進み、21年4~6月期から22年1~3月期まで4四半期連続でプラス成長を確保。欧州委はサプライチェーン混乱による半導体などの不足、エネルギー価格の高騰といった問題はあるものの、景気が堅調に回復を続けるとみてきた。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻で状況が一変。エネルギーや食品などの価格が一段と高騰し、サプライチェーン混乱も悪化するとして、予想成長率を大幅に下方修正した。さらに、EUの経済制裁でロシアからの天然ガス供給が止まれば、22年は0.2%の成長にとどまると予想している。
一方、ユーロ圏のインフレ率に関しては、22年が6.1%、23年が2.7%で、それぞれ前回の3.5%、1.7%から大幅に引き上げた。特にポーランド、チェコ、ブルガリア、リトアニアなど中東欧諸国の多くは、22年は10%を超えるとの見通しを示した。