イスラエルとエジプトが欧州向けガス輸出拡大へ、脱ロシアでEUが協定締結

EUとイスラエル、エジプト両政府は15日、東地中海で産出される天然ガスの欧州向け輸出を拡大する協定を締結した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、EUはエネルギー分野におけるロシア依存から脱却するため、調達先の多角化を進めている。天然ガスは輸入の4割をロシアに頼っており、安定調達が可能な供給元の確保が急務となっている。

欧州委員会と両国がエジプトの首都カイロで会合を開き、覚書に署名した。欧米メディアによると、イスラエル沖で産出される天然ガスをパイプラインでエジプトの液化天然ガス(LNG)施設に送り、そこからタンカーで欧州に輸送するという。具体的な輸出量は公表されていないが、英紙フィナンシャル・タイムズによると、欧州委は今回の協定により、2022年にエジプトから欧州に輸出されるLNGが当初予想の50億立方メートルから70億立方メートルに拡大し、来年にはさらに倍増する可能性があるとの見方を示している。

欧州委のフォンデアライエン委員長は記者会見で、「エネルギー調達先の多角化に向け、ロシア産の化石燃料から信頼できる取引相手への移行を進めている。両国はまさに信頼できる供給元だ」と述べ、協定の意義を強調した。

これに対し、イスラエルのエルハラル・エネルギー相は「イスラエルとエジプトは天然ガスを欧州と共有し、エネルギー危機への対応をサポートすることを約束する」と表明。エジプトのエルムッラー石油相は、今回の「画期的」な協定が他の地中海沿岸諸国との連携強化につながる可能性があると述べた。

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