ECBが金融引き締めによる弊害に対応、伊など重債務国を支援へ

欧州中央銀行(ECB)は15日に開いた緊急理事会で、今月初めに打ち出した金融引き締めによってイタリアなどユーロ圏の重債務国の国債利回りが上昇している問題について協議した。これまでの量的金融緩和策で買い入れた債券の満期償還金の再投資を進めることなどを決めた。

ECBは物価の歴史的な高騰に対応するため、9日の定例政策理事会で国債などの資産を買い取る量的金融緩和を7月1日に終了することを決定。7月に0.25%の利上げを実施する意向も表明した。利上げは2011年以来11年ぶりとなる。

この決定を受けて、イタリアやスペイン、ギリシャなどの国債の利回りが急上昇。借り入れコストが膨らんで、2012~14年に起きた債務危機が再来する懸念が出ている。ECBは緊急理事会で、詳細な対応策を決めるには至らなかったものの、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」で買い入れた債券の償還金を柔軟に再投資し、これらの国の国債を買い支えることを決めた。また、ドイツ国債などとの利回り格差が拡大するのを防ぐことを目的とした措置の導入に向けた準備に入ることも明らかにした。

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