2011/10/19

コーヒーブレイク

機関車返還要求で窮地~ブルガリア

この記事の要約

ブルガリア国鉄(BDZ)が窮地に立たされている。ドイツ金融開発公庫(KfW)の融資で2005年に購入したシーメンス製電気機関車25両の返還を求められているためだ。BDZの保有する機関車で今日の技術的水準を満たしているのは […]

ブルガリア国鉄(BDZ)が窮地に立たされている。ドイツ金融開発公庫(KfW)の融資で2005年に購入したシーメンス製電気機関車25両の返還を求められているためだ。BDZの保有する機関車で今日の技術的水準を満たしているのは、これらの機関車と、同じシーメンス製のディーゼル機関車25両だけ。これを手放せば、都市近郊線を70年代のソ連型老朽機関車で運行せざるを得ず、通勤・通学の足が大きく乱れると心配されている。

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今回の返還要求は、BDZが融資の取り決めに反して、対象となっている機関車の保険をブルガリア・アリアンツから国内大手のBulstradに切り替えたことが引き金となった。契約では2017年に予定される完済までKfWに機関車の所有権を認めており、これを根拠にKfWが返還を要求した。

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国会で開かれた7日の公聴会では2010年以降、返済が滞っている事実も明らかとなり、BDZ財務問題の深刻さが改めて公になった。同社の債務は総額7億7,100万レフ(3億9,600万ユーロ)に上っているが、現状では履行に必要な資金調達が難しい情勢だ。これを踏まえ、世界銀行も2億3,500万ユーロの融資の実施を見合わせた。ブルガリア政府は、状況の打開には公的支援が避けられないとの立場を明らかにしている。また、国内では解決に向けて政府にドイツ政府と交渉するよう求める声も強まっている。

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BDZは最近、車両資産のうち1,000台がなくなっていることが分かったばかり。犯罪者集団が職員の手引きで盗み、解体してクズ鉄として売りさばいたのではないかと推測されている。いつ、どこから盗まれたのかは明らかでなく、23日の大統領選を前に、主要政党は罪をなすりあっている。

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