ロシアのドヴォルコヴィッチ大統領顧問は10月30日、ロシアの『ノーヴィー・イズベスチヤ』紙の取材で、ユーロ圏諸国に対し資金的援助を行う姿勢を明らかにした。国際通貨基金(IMF)を通じ、最大100億米ドルを提供する方針だ。一方で2国間交渉による援助もありうるとしている。
\ロシアは現在、ユーロ採用国であるキプロスに金利4.5%、期間4年半の条件で25億ユーロを貸し付ける方向で同国政府と交渉中。キプロスを拠点にロシアへ投資する企業が多いこともあり、同国金融システムの安定はロシアにとっても懸案となっているためだ。
\ドヴォルコヴィッチ顧問は、欧州の安定はロシア経済にとっても大変重要な問題と話し、欧州連合(EU)から正式要請があれば真剣に検討すると述べた。同時に、支援の条件として各国政府に財政再建を要請すると明言した。
\支援では、他のBRICS新興諸国と連携する立場を表明。これらの諸国は世界金融システムの安定化に向けてIMFを通じて資金を提供する用意だ。これを機に、IMFにおける影響力を拡大したい思惑がある。ドヴォルコヴィッチ顧問の発言は、3、4の両日にフランスのカンヌで開かれる主要20カ国(G20)首脳会議を前に、新興諸国側の姿勢を明確にした格好となっている。
\ \■年内のWTO加盟、濃厚に
\ \G20首脳会議では世界貿易の拡大も議題に上るが、ロシアが1990年代から目指していた世界貿易機構(WTO)加盟が年内にも実現する見通しとなっている。2008年の南オセチア紛争を機にロシアと国交を絶っているグルジアが拒否権を盾に加盟を阻止する構えだったが、スイスの仲介で態度を軟化させたためだ。ドヴォルコヴィッチ顧問は、12月15日のWTO通商担当相会議における正式加盟承認を見込んでいる。
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