2010/1/20

総合・マクロ

ロシアとトルコ、送油管建設で協力促進

この記事の要約

ロシアのプーチン首相は13日、モスクワを訪問中のトルコのエルドアン首相と会談し、トルコ国内に石油パイプラインを敷設するプロジェクトで協力を促進することで合意した。\ このパイプイラインは、ロシアやカザフスタン産の石油を黒 […]

ロシアのプーチン首相は13日、モスクワを訪問中のトルコのエルドアン首相と会談し、トルコ国内に石油パイプラインを敷設するプロジェクトで協力を促進することで合意した。

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このパイプイラインは、ロシアやカザフスタン産の石油を黒海沿いのサムスンから地中海側のジェイハンまで、トルコを縦断して輸送する総延長555キロメートルの送油管で、伊石油大手ENIとトルコのチャリク・エナジーが共同で建設を進めている。完成は2012年を予定しており、輸送能力は150万バレル/日。同パイプラインが開通すれば、船舶の渋滞が深刻なボスポラス海峡を迂回して原油を欧州に輸送するルートが確保できるとして、大きな期待を集めている。プーチン首相は会談後の記者会見で、「サムスン-ジェイハン・プロジェクトで協力を強化する」と述べ、ロシア、トルコ、イタリアの3カ国協定の締結を提案したと明らかにした。

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ロシアがサムスン-ジェイハン・パイプラインの建設に関与を強めている背景には、もうひとつのボスポラス海峡迂回ルートであるバルカン横断パイプライン計画の先行きに漂う不透明感がある。ロシアは08年3月、黒海沿岸のブルガスとエーゲ海沿岸のアレクサンドロポリスを結ぶ石油パイプラインの建設で正式にブルガリア、ギリシャと合意した。しかし、昨年7月に発足したボリソフ首相率いるブルガリアの中道右派政権は、環境破壊の懸念があることなどを理由にパイプラインの敷設に慎重な姿勢を示しており、プロジェクトの今後が危ぶまれている。

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プーチン首相はまた、ロシア産天然ガスを黒海経由で欧州に輸送するパイプライン「サウス・ストリーム」のトルコ領内への建設を、11月10日までに承認するとエルドアン首相が約束したことを明らかにした。サウス・ストリームはロシアから黒海海底を通ってブルガリア経由でイタリアに到達する総延長約900キローメートルのガスパイプラインで、年間輸送能力は310億立方メートル。ロシア国営のガスプロムと伊ENIが総工費100億ユーロをかけ、2013年までの稼働を目指している。

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