2011/7/27

総合・マクロ

ユーロ圏債務危機、中東欧に波及懸念

この記事の要約

ロシアの投資銀行、ルネッサンス・キャピタルのスティーブン・ジェニングス最高経営責任者(CEO)は18日、ブルームバーグとのインタビューに応じ、ユーロ圏の高債務国でデフォルト(債務不履行)が発生した場合、中東欧諸国は大きな […]

ロシアの投資銀行、ルネッサンス・キャピタルのスティーブン・ジェニングス最高経営責任者(CEO)は18日、ブルームバーグとのインタビューに応じ、ユーロ圏の高債務国でデフォルト(債務不履行)が発生した場合、中東欧諸国は大きなダメージを受けるとの見方を示した。

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ジェニングスCEOはユーロ圏で最初にデフォルトに陥る可能性が高いのはギリシャであり、欧州連合(EU)が適切な対応を行わなければ、その他のポルトガルやスペインなどの高債務国でもデフォルトが発生する可能性があると指摘。EUが「債務問題の重大さから目を背けている」と批判し、「一部のユーロ加盟国のデフォルトは不可避だが、EUが正しい決断ができるとは思えない」として、中東欧諸国は事態に備えて防御策を講じておくべきだと述べた。

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欧州復興開発銀行(EBRD)のチーフエコノミスト、エリック・バーグロフ氏によると、ギリシャがデフォルトに陥った場合、最も影響を受けるのは地理的に近いルーマニア、ブルガリア、セルビアなどの南東欧諸国だ。アルファ銀行、ピレウス銀行、EFGユーロ銀行などのギリシャの銀行はブルガリアの金融市場で35%、ルーマニアで17%のシェアを握っており、マケドニア、セルビア、アルバニアでも15~25%のシェアを持つ。もしもこれらのギリシャの銀行が中東欧から資金を引き上げれば、危機の連鎖反応を引き起こしかねない。

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一方、ジェニングスCEOはバルカン最大の国であるルーマニアについて、金融危機の際に実施した緊縮財政策が奏効しており、「財政ポジションは底堅い」と評価する。同国は2008年秋のリーマン・ショック後に経済が悪化、09年にIMFや欧州連合(EU)などから総額200億ユーロの支援を受け、今年3月には総額50億ドルの追加支援で合意した。同国は国際機関からの金融支援を受けるため、公務員給与の削減や年金の凍結などにより財政再建に取り組んできた。この結果、3月末時点の財政赤字額は52億レウと、前年同月末から30億レウ減少。1-3月期の経済成長率は前年同期比1.7%と、経済は着実に回復している。フィッチ・レーティングスは先ごろ、ルーマニアの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「BB+」から投資適格級の「BBB-」に引き上げた。ただ、ジェニングスCEOは、「ユーロ圏の債務危機が波及した場合に生き延びるための体力をつけておくことが必要だ」と指摘。そのためには一層の改革が望まれると述べた。

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