2011/9/28

CIS諸国

ロシア、天然ガス供給でウクライナに譲歩の兆し

この記事の要約

天然ガス供給をめぐるロシアとウクライナの交渉で、ロシアが2009年の供給契約の見直しを求めるウクライナに譲歩する姿勢を示したもようだ。ウクライナのアザロフ首相は26日、ロシアと契約見直しで合意したと発表。27日には、10 […]

天然ガス供給をめぐるロシアとウクライナの交渉で、ロシアが2009年の供給契約の見直しを求めるウクライナに譲歩する姿勢を示したもようだ。ウクライナのアザロフ首相は26日、ロシアと契約見直しで合意したと発表。27日には、10月中に契約改定を済ませ、年明けから新価格でガスを輸入したいと述べた。一方、ロシア国営ガス会社のガスプロムは、交渉が前進したことは認めたが、合意には達していないと述べ、今週も協議を続けると発表した。ヤヌコビッチ・ウクライナ大統領は24日、同問題を協議するため、ロシアを訪問し、メドベージェフ大統領、プーチン首相と会談。両国のエネルギー分野の高官もこれとは別に25日に協議を行っており、契約見直しに向けてロシア側からなんらかの譲歩があったことは確かなようだ。

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ウクライナのティモシェンコ前首相が2009年にロシアと締結した現行契約は、ウクライナに年間330億立方メートル以上のガスを石油価格と連動した価格で購入することを義務付けている。ヤヌコビッチ大統領率いる現政権はこれに対し、購入量の削減と価格引き下げを求めている。ロシア側はロシア・カザフスタン・ベラルーシ関税同盟にウクライナが加盟することなどを契約見直しの条件としたが、欧州連合(EU)加盟を目標に掲げるウクライナが条件を拒否したため、交渉は平行線をたどり、一時は欧州へのガス供給がストップしたガス価格紛争の再燃も危惧されていた。

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ウクライナは昨年8月、国際通貨基金(IMF)から総額151億ドルの融資を受けることで基本合意したが、融資条件である年金改革やガス料金引き上げが遅れていることから、今年3月に予定されていた第3回融資はいまだに実施されていない。ロシアからのガス購入価格を抑えることで、国内のガス料金を値上げすることなく支出を削減したい考えだ。

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なお、ティモシェンコ前首相は、首相在任中に職権を超えた形でロシアと天然ガス取引を行い、ウクライナに15億フリブナ(約1億3,200万ユーロ)の損害を与えたとして職権乱用罪に問われている。8月には同件に関する裁判で審理を妨害したとして逮捕され、現在も取り調べのため身柄を拘束されている。

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