スロバキアで労働法改定の動きが出ている。議会はこのほど、来年初めから解雇に際して一定の告知期間を置くとともに、退職金の支給を義務付ける法案を可決した。また、今月中に強制加入の社会保険の改正案が審議される見通しだ。雇用者側は法律が発効する前に、大量解雇が起こると警告している。
\退職金支給を義務化する法律については、イヴァン・ガスパロヴィッチ大統領の承認が必要となる。大手会計事務所TPAホワースの法律専門家アンドレア・プレショヴァ氏によると、雇用者側からのロビー運動を受けて、条文が修正される可能性もある。
\社会保険の改正法案は、週労働時間10時間以下の場合にも保険料を徴収することを盛り込んだ内容。現在は保険料を免除しているが、これを悪用して、実際には40時間働いているのに契約上10時間とするケースが後を絶たないためだ。この場合、時給を4倍払う形にして収支を合わせているという。
\雇用者側は、解雇規定の厳格化を前に、年内に「駆け込み解雇」が行われる恐れがあると指摘する。スロバキア進出企業の多いオーストリアの連邦産業院(WKO)ブラチスラバ事務所のパトリック・ザークマイスター氏によると、人件費のウエイトが高い接客・サービス業が中心となりそうだ。製造業は比較的好調のため、影響が小さいという。
\スロバキア雇用者同盟(RUZ)のルボシュ・シロタ副代表によれば、長期的に10万人の雇用が危うくなっているという。スロバキアの失業率は現在14%に上っている。
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