2013/12/4

総合・マクロ

中東欧の景気回復へ、構造改革が課題=WIIW予測

この記事の要約

ウィーン比較経済研究所(WIIW)が11月28日発表した最新予測によると、中東欧の経済成長率は上昇する見通しだ。しかし、依然として外需に頼る経済構造のため、成長率は金融危機前の水準を大きく下回るとしており、長期的な成長確 […]

ウィーン比較経済研究所(WIIW)が11月28日発表した最新予測によると、中東欧の経済成長率は上昇する見通しだ。しかし、依然として外需に頼る経済構造のため、成長率は金融危機前の水準を大きく下回るとしており、長期的な成長確保には構造改革による内需拡大が不可欠と指摘している。

\

WIIWによると、欧州連合(EU)に加盟する中東欧11カ国の経済成長率は今年、前年並みの0.8%にとどまる見通しだ。その後は上向き、来年に2%、2015年には2.9%が見込まれる。

\

けん引するのはバルト三国で、いずれも来年は3.7~3.9%、15年は4.1~4.2%拡大する。

\

次に大きな成長が見込まれるのはスロバキア、ポーランド、ルーマニアの3カ国で、来年は2.2~2.3%、15年は2.5~3.5%の予測だ。

\

チェコ、ハンガリー、ブルガリアは回復が遅れ、来年は1.1~1.4%の拡大にとどまる。15年は2.3~2.4%と2%台に乗りそうだ。

\

クロアチアは来年、プラス成長に転じるものの、その率は0.8%とわずかだ。15年は1.5%の予測。

\

金融危機が深刻なスロベニアは来年もマイナス1%と東欧のEU加盟国として唯一マイナス成長が続く。15年は0.5%とプラスに転じる見通しだ。

\

WIIWによると、中東欧の成長は西欧の銀行による融資と外国企業の直接投資に支えられていた。このため、欧州債務危機で重要な取引先であるEUの景気が後退した影響をまともに受けることになった。各国政府の緊縮財政も内需を抑制した。

\

WIIWは今回の予測値が楽観的観測に基づくものと断ったうえで、今後は先に支出削減ありきではなく、経済全体を俯瞰(ふかん)した財政運営が求められると強調。外需主導から内需主導経済への転換に向けた構造改革の必要性を訴えた。

\

\

■CIS諸国

\

\

ロシアは今年、投資の伸び悩みが響き、経済成長が前年比1.7ポイント減の1.7%へと大きく低下する見通しだ。来年は2.1%、15年は2.9%の拡大が見込まれる。

\

ウクライナはロシアの景気低迷や鉄鋼需要の縮小に加え、政治的理由に基づくロシアの経済制裁で今年は0.5%のマイナス成長になる。来年は1.5%、15年は2%のプラスへ回復する。

\

カザフスタンでは個人消費が経済を支え、今年5%、来年6%、15年は6.5%の成長が見込まれている。

\