2014/2/26

総合・マクロ

ウクライナ大統領失脚、27日にも暫定政府成立

この記事の要約

ウクライナのヤヌコビッチ大統領が失脚した。同国議会は23日、大統領解任を決議し、ティモシェンコ元首相の腹心とされるトゥルチノフ氏に代行を委任した。現在、27日の暫定内閣成立を目指して調整が進められている。逃亡中のヤヌコビ […]

ウクライナのヤヌコビッチ大統領が失脚した。同国議会は23日、大統領解任を決議し、ティモシェンコ元首相の腹心とされるトゥルチノフ氏に代行を委任した。現在、27日の暫定内閣成立を目指して調整が進められている。逃亡中のヤヌコビッチ大統領に対しては25日、大量殺人の罪で逮捕状が出された。

ウクライナではヤヌコビッチ大統領が欧州連合(EU)との連合協定締結を見送った11月以来、大統領の辞任を求める反政府デモが続いていた。両者の溝は埋まらずに対立が先鋭化し、今月18日以降、デモ隊と治安部隊の衝突で88人の死傷者を出す事態に発展した。政府と野党指導者代表は21日、独、仏、ポーランド外相の仲介で2004年の旧憲法復活や大統領選挙の前倒し実施などを内容とする合意を結んだが、あくまでも大統領の即時辞任を求める右翼の反政府派が武力闘争継続を呼びかけるなど、事態は不透明なままだった。

ところが22日未明、ヤヌコビッチ大統領がキエフを脱出。翌23日には議会が大統領解任を決議し、5月25日に選挙を実施することを決めた。同日にはEUの欧州議会選も予定されている。

ウクライナ議会はまた、職権乱用罪で収監されていたティモシェンコ元首相の恩赦も決定。元首相は釈放後の23日、暫定首相に立候補しないと述べ、大統領選への出馬を示唆している。

■ロシアの動向に注目

今後のウクライナを占う上で、ロシアの動向が大きな比重を占める。ロシアは一貫して、デモ参加者を「西側に操られた急進勢力」と位置付け批判してきた。21日の協定でもキエフに派遣されたロシア代表は署名を見送り、ヤヌコビッチ失脚以後の一連の動きについてもロシア政府は「非合法」という見解だ。

ロシアは来年にもEUに対抗する「ユーラシア連合」を発足させる計画だが、その成功にはウクライナの参加が必須。このため、ウクライナ製品の輸入妨害や天然ガス交渉を通じて同国への圧力を高めてきた。結果としてヤヌコビッチ大統領がロシア側についたものの、ウクライナ国民の抗議で失脚し、ロシアは新戦略を練らなければならなくなった。

EUは、ウクライナ国内に親露派が多く存在する事実を踏まえ、同国の統一性を保つためにも、ロシアとの協調を図っていく姿勢だが、その成否は今後のロシアの動きにかかっている。

■山積する課題

課題が山積するウクライナだが、政治的課題としてはまず、国内の結束があげられる。今回は、親欧派が中心となったデモ勢力が親露のヤヌコビッチ政権を倒した格好となった。しかし、東部を中心に親露派も多く存在し、これらの人々にも受け入れられる共通の政治基盤が必要となる。また、野党勢力も一枚岩ではなく分裂する危険をはらんでいる。強権的勢力の巻き返しを防ぐには、野党の協調維持も不可欠だ。

経済面の大きな課題は、抜本的改革を実施することで中長期的に財政の健全化を達成し、国外への依存を弱めることにある。欧州復興開発銀行(EBRD)と世界銀行の推定によると、ウクライナの財政赤字は昨年、国内総生産(GDP)比で7%を超えた。経常赤字も8%に上り、外貨準備高は急速に減少しつつある。

国債の償還には外国からの新たな財務支援が必要で、これがウクライナの政治を左右する根源となっている。以前に国際通貨機関(IMF)や欧州連合(EU)が支援を申し出たが、通貨フリブナの取引自由化や一般世帯向けガス料金の引き上げなどを条件としていた。改革を避けたいヤヌコビッチ大統領はその代わりに、昨年12月、ロシアからの支援を受け入れた。

ウクライナでの新たな展開を受けて、IMFやEUは同国への財務支援を行う意思を明確にした。ロシアに参加を呼びかけるべきとの声もある。暫定政権によれば、今年と来年に必要な資金は350億米ドル(25億5,000万ユーロ)に上る。

IMFやEUなど西側機関の融資が、財政赤字の改善・解消を条件とすることは明らかだ。その試練に受けて立つ国民の覚悟が試されることになる。