2014/10/1

コーヒーブレイク

ベラルーシ産パルメザンチーズ~ロシア

この記事の要約

ロシア政府が8月に実施した欧州連合(EU)産食品の禁輸措置で、ロシアのレストランに大きな衝撃が走っている。新たな調達先の模索、メニュー変更に加え、材料費の上昇が悩みの種だ。特に、質を売り物にしている高級レストランで問題は […]

ロシア政府が8月に実施した欧州連合(EU)産食品の禁輸措置で、ロシアのレストランに大きな衝撃が走っている。新たな調達先の模索、メニュー変更に加え、材料費の上昇が悩みの種だ。特に、質を売り物にしている高級レストランで問題は大きい。

解決法の第一の可能性は密輸だ。禁輸措置の発効以来、モスクワの飲食業界には「ベラルーシ産」のパルメザンチーズが流通し始めた。

ベラルーシはEU製品の輸入制限を行っていない。一方でロシアとは関税同盟を結んでおり、税関検査なしでロシアへ輸出できる。そこで、イタリアから輸入した正真正銘のパルメザンにお粗末な「メード・イン・ベラルーシ」のシールを貼ってロシアに出荷するビジネスが生まれた。果物や野菜についても同じ手口で「偽ベラルーシ産」の食品がロシアに持ち込まれているという。

第2の可能性は新たな調達先を見つけることだ。肉であれば南米、モッツァレラ・チーズならアルゼンチンやセルビア、国内のカルーガやブリャンスクでも購入できる。魚は今でも北アフリカから輸入しているところが多い。

第3の可能性は「料理人の工夫」。メニューを全面変更したレストランもあるが、大事なのは入手できるもので求める味を出すことだ。

ロシア伝統料理の高級レストラン「ノスタルジー」のオーナーであるブハロフさんは、「品不足を経験しているロシア人の料理人の方が、モスクワで働く外国人コックよりもアイデアが豊富だ」という。

この点では「味」を売りにする高級レストランのほうが大変だ。ブハロフさんは、1998年の金融危機時に安い材料で試したところ、客に不評となった。このため、毎日、何時間も電話をかけて食材を探し、さらに毎日、メニューを変えて対応した。1年間利益が出なかったという。

調達先が確保できても、コストを抑えられるかどうかはレストランにとって大きな問題だ。「ベラルーシ産」パルメザンチーズは従来よりも2割高。他の食材でも価格が5~20%上昇しているようだ。

ブハロフさんによれば、値段を人工的に吊り上げている輩がいるため、禁輸による本当の影響は不明。状況が落ち着く2~3カ月後に、ようやく様子が分かるとみられる。