2014/10/15

総合・マクロ

スロベニアの欧州委員候補が辞退、欧州議会の承認拒否で

この記事の要約

欧州委員会の次期委員に指名されていたスロベニアのブラトゥシェク前首相は9日、委員就任を辞退した。資格審査の場となる欧州議会の公聴会で、不適格として承認が拒否されたため。これを受けてスロベニアは新たな候補者を指名した。 ブ […]

欧州委員会の次期委員に指名されていたスロベニアのブラトゥシェク前首相は9日、委員就任を辞退した。資格審査の場となる欧州議会の公聴会で、不適格として承認が拒否されたため。これを受けてスロベニアは新たな候補者を指名した。

ブラトゥシェク氏はユンケル次期欧州委員長から、エネルギー同盟担当の副委員長に指名されていた。しかし、6日に欧州議会のエネルギー・環境委員会が開いた公聴会で、同氏が先のスロベニア総選挙で与党が敗北し、首相辞任が決まってから、自らをスロベニア出身の欧州委員候補に指名したことに批判が集中。エネルギー問題に関する突っ込んだ質問に行き詰まる場面もあったことから、同委員会が8日に行った採決では反対112、賛成13の圧倒的多数で委員就任が否決された。ブラトゥシェク氏は欧州議会の第3会派である中道・リベラル系に属しており、第1、2会派の中道右派・欧州人民党、中道左派・欧州社会党の支持を得られなかったことが響いた。

欧州議会は同氏に代わる候補者として、欧州社会党所属のスロベニアの欧州議会議員であるタニヤ・ファヨン氏を指名した。これに対してスロベニア政府は、各国出身の欧州委員は各国政府が選ぶべきだとして、ブルク副首相を新たな候補者として擁立した。

ブルク氏はユンケル次期委員長から、エネルギー同盟担当の副委員長とは別のポストを割り振られる見込み。これが決まってから欧州議会の公聴会で資格審査を受けることになる。

一方、公聴会では他の欧州委員候補も適格性が疑問視され、欧州人民党と欧州社会党

の駆け引きも絡んで承認手続きが難航した。焦点となったのは、仏モスコビシ氏(経済・金融・税制・関税担当)、英ヒル氏(金融安定・金融サービス・資本市場担当)、スペインのカネテ氏(エネルギー・地球温暖化担当)。モスコビシ氏はフランスが欧州連合(EU)の財政規律を順守していない点、カネテ氏はエネルギー業界との結びつきが問題視された。ヒル氏は金融主権の維持にこだわる英国出身で、金融市場統合を進めるEUの担当委員としてふさわしくないといった批判を受けた。

しかし、最終的には欧州人民党と欧州社会党が対立激化を避けるため、相手方が支持する候補を受け入れることで折り合い、3人とも承認された。

このほか、ハンガリーが氏名したティボル氏(教育・文化担当)がメディア統制など民主主義に逆行する動きが目立つオルバン政権で司法相を務めていたことが批判され、次期委員就任は承認されたものの、担当分野は見直されることになった。

次期の欧州委員会は11月1日に発足の予定。欧州議会は22日に全候補を一括した形で、最終承認の可否を採決する。