アゼルバイジャンとトルコが、戦火が治まったばかりのカラバフ地方にハイテクパークを共同で設ける意向だ。アゼルバイジャン革新技術庁とトルコのゲブゼ工業団地(GOIZ)ハイテクパークは今月初め、これに向けた提携覚書を交わした。
ハイテクパークでは、最先端の研究を進めるほか、ハイテク設備を生産する。また、若者と情報通信技術(ICT)専門家との交流の場を設け、経験共有・アイデア実現につなげる。
覚書では、ハイテクパークの設置と並び、アゼルバイジャンの若者の工学的知識・技能を高めるため、技術移管プログラムの実施、ノウハウの共有、セミナー、訓練、専門会議の共同開催などで協力する方向も確認された。
アゼルバイジャン通信(APA)によると、イルハム・アリエフ大統領は、カラバフ地方が「歴史的に詩人、音楽家、芸術家のふるさととして芸術の中心地の役割を果たしてきた」としたうえで、今後の展望として同地を革新技術・イノベーション地域に育てる方針を明らかにした。
■カラバフ紛争
カラバフ地方は住民の大半をアルメニア人が占める。ソ連時代のナゴルノ・カラバフ自治州とその周辺地域から成り、ソ連解体後のアルメニア分離派・アゼルバイジャン間の戦闘の結果、国際法上はアゼルバイジャンに属するものの、アルメニア人が実効支配する状況が続いていた。
今年9月にアゼルバイジャンと分離派が再び軍事衝突し、11月の停戦で旧ナゴルノ・カラバフ自治州の周辺地域をアゼルバイジャンに統合することが決まった。これにより旧自治州はアルメニアと分断され、アルメニア系住民はロシア軍の警備するルートを通らなければアルメニアと行き来できなくなった。
この紛争に関してトルコは、アゼルバイジャン人が同じテュルク系民族に属すること、アルメニアと対立関係にあることから、一貫してアゼルバイジャンを支援している。