●ブロックチェーンを用い、デジタル資産の発行・取引を可能に
●ルーブルと連動するステーブルコイン「ズベルコイン」を発行
ロシアの国営金融・テクノロジー大手ズベルが、デジタル資産の発行・取引を可能にするブロックチェーン(分散型台帳)・プラットフォームの運用を開始する。同国の中央銀行への登録手続きが今月半ばに完了する見込みで、まずは自社のデジタル資産を発行するほか、年末までに他の企業も同プラットフォームを利用できるようにする。アナトリー・ポポフ取締役副代表によると、発行されるデジタル資産の機能、満たすべき要件などに関連し、中銀と緊密に連絡を取り調整を進めているという。
ズベルはロシア最大の金融機関。米『フォーブズ』誌のまとめた最新の「グローバルランキング2000」でも、公営企業として世界第51位に位置する。昨年、名称をズベルバンクからズベルに変更し、伝統的な金融機関から、デジタルサービスを総合的に提供するテクノロジー企業へ転身する方向性を明確にした。現地報道によると、今年上半期のデジタル事業向け投資額は約10億米ドルに上ったという。
デジタル事業では、デジタル資産関連サービスおよび自社のデジタル資産発行を実現するため、積極的に準備を進めている。その一環として今年初め、自国通貨ルーブルと連動するステーブルコイン(価格変動を極力少なくした仮想通貨)「ズベルコイン」の発行・取引に向けて、ブロックチェーン・プラットフォームの立ち上げを中銀に申請していた。
これまで中銀は、この種のステーブルコインを民間企業が提供することに否定的な姿勢を貫いている。ズベルの説明を参考にする限り、中銀は国営のズベルがプラットフォームを提供することで、一定の安全性を確保できるとみているもようだ。