●ミニバンを改造した「自走式充電器」による出前サービス
●英BPなど国際大手が運用を検討
ロシアの新興企業エルチャージ(L-Charge)がこの夏からモスクワで、「電動車(EV)充電の出前」サービスを始めた。独自開発の移動式充電車を用い、アプリで注文を受ければ市内のどこへでもおもむき、充電サービスを提供する。年内にもロンドンやニューヨーク、パリへ進出する方針だ。
ドミトリー・ラシン社長によると、料金はキロワット時0.4~0.6米ドル。わずか8分で航続距離100キロメートル分の容量を充電できるという。移動式充電車はミニバンを改造したもので、液化天然ガス(LPG)による自家発電が可能。環境への配慮を念頭に動力を燃料電池に転換することも計画している。
ラシン社長は、「EV普及のカギを握る充電インフラを整備するには固定式充電設備だけでは間に合わない。弊社の移動式充電器を使えば迅速に必要なインフラが配備できる」と話す。
また、本格的なEV時代を目指すのであれば、充電は1時間以内に抑えねばならないとし、「400秒充電で400キロ走れる」ことを目的としていると語った。
充電インフラ大手で「移動式」の実現に取り組んでいるところはなく、エネルギー大手からは移動式充電車の照会が寄せられている。英BPは、ロンドンおよび近郊の駐車場にエルチャージの充電車を設置して運用することを検討、フランスからも同じような引き合いがあったという。
ミニバン充電器の価格は1,200万ルーブル(約12万8,000ユーロ)。法人が社用車の充電に使うことも考えられる。エルチャージでは、毎日40台充電すると2年で元が取れるとしている。(1RUB=1.50JPY)