リトアニア、カリーニングラードへの禁輸品輸送を停止

●EUの対ロシア制裁の一環、ロシア側は「違法行為」と強く批判

●バルト3国ではロシアによる侵略を警戒する声が高まっている

リトアニアが18日から、ロシアの飛び地領であるカリーニングラード州とロシア本国との貨物輸送を制限した。欧州連合(EU)の対ロシア制裁の一環で、禁輸対象となっている物品の輸送を禁じた。ロシアはこの措置を「違法行為」と強く批判しており、ロシアとバルト諸国との関係がさらに緊張を増す可能性が指摘されている。

EUはロシアの対ウクライナ侵攻を機に制裁措置を発動。今月初めにその第6弾を正式承認した。石炭や金属、建材、ハイテク技術などの輸出が禁止されている。

カリーニングラード州は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるリトアニアとポーランドに挟まれた飛び地領だ。これまでは、ロシア本国から天然ガスや他の物品を、リトアニアを通るパイプライン及び鉄道で運んでいた。

カリーニングラード州のアントン・アリハノフ知事によると、今回の措置でロシアからの輸入貨物の40~50%が輸送禁止となる。対策として海上輸送を計画しており、輸送用船舶の数は現在の2隻から年末までに7隻に増える可能性があるという。

ロシア外務省は20日、輸送停止措置が「すべてに違反」するものとして強く反発し、「事態は非常に深刻」という見方を示した。リトアニアの在モスクワ全権公使を呼び出し、厳重抗議のうえ、同措置の即時撤廃を要求した。

ロシアのウクライナ侵攻を機に、バルト3国ではロシアによる侵略を警戒する声が高まっている。プーチン大統領も今月9日、バルト海沿岸を領土として獲得したピョートル1世の北方戦争について、「領土を奪ったのではなく、取り戻した」と発言し、揺さ振りをかけている。

これに呼応するように、ロシアではトークショーなどで本国とカリーニングラード州を結ぶ「回廊」設置を求める声が出ているほか、下院でも今月、リトアニアの独立承認取り消しを求める法案が提出された。

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