チェコとスロバキア、原子力分野でもロシア離れ

●チェコのJINRへの負担金は年間約1億3,000万コルナに上る

●両国ともロシアからの核燃料調達を完全に見直す方針

チェコ政府は12日、ロシア・モスクワ近郊のドゥブナ合同原子核研究所(JINR)から今年末で脱退すると発表した。国営電力のCEZも、テメリン原子力発電所の核燃料を2024年から米国のウェスチングハウスとフランスのフラマトムから調達することを決めた。同様にロシア製原子炉を採用しているスロバキアもロシアからの核燃料調達を見直す方針だ。天然ガスに加え、核エネルギー分野でも旧社会主義国のロシア離れの動きがみられる。

JINRは冷戦時代の1956年、ソビエト連邦とチェコを含め社会主義国11か国が原子力分野の合同研究を行うために共同出資して設立された。チェコの負担金は現在、年間約1億3,000万コルナ(530万ユーロ)に上る。ロシア軍が3月、ウクライナのザポリージャ原子力発電所を攻撃したことを受けて、チェコ議会は7月にJINRからの脱退を採択した。

テメリン原発には現在、ロシア製原子炉VVER-1000用の核燃料が約2年分あるが、新規調達を国営ロスアトムの核燃料供給子会社TVELからウェスチングハウスとフラマトムに切り替える手続きを開始した。ドゥコヴァニ原発のVVER-440用核燃料ではウェスチングハウスと現在交渉している。

スロバキア国営電力会社は8月にモホーチェおよびボフニチェ原発用の核燃料の新規入札を開始した。現在のサプライヤーであるTVELのほか、フラマトムとウェスチングハウスの参加が予想され、ロシアへの核燃料完全依存を止める方針だ。(1CZK=5.84JPY)

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