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2023/3/8

総合・マクロ

中国企業がロシア市場シェアを拡大、欧米企業の撤退で

この記事の要約

●自動車以外では中国スマホがシェア倍増●欧米企業とのような関係は望めないと警戒する声もロシアのウクライナ侵攻を受けてロシアから欧米企業が大挙して撤退する中、中国企業がその隙を突いて着実に手中に収めつつある。ただ、欧州でも […]

●自動車以外では中国スマホがシェア倍増

●欧米企業とのような関係は望めないと警戒する声も

ロシアのウクライナ侵攻を受けてロシアから欧米企業が大挙して撤退する中、中国企業がその隙を突いて着実に手中に収めつつある。ただ、欧州でも事業を展開する大手企業のなかには欧米での評判を気にして自らロシア事業を停止するところもあり、必ずしも足並みが揃っているわけではない。

欧米の世界的な自動車大手が撤退した後に勢力を伸ばしているのが吉利汽車(ジーリー)、奇瑞汽車(チェリー)、長城汽車だ。市場シェアは昨年、合わせて約17%だった。しかし、今年1月は新車販売台数4万5,000台のうち、これら3社が1万7,000台を売り上げた。シェアが38%へ拡大したことになる。

この動きは自動車市場だけにとどまらない。例えばスマートフォンでも、市場を主導していたサムスンとアップルの製品が遅くとも6月末には買えなくなった。代わって売れているのが小米(シャオミ)で12月のシェアは実に53%。欧珀移動通信(oppo)も27%を握る。中国スマホのシェアは以前でも40%と小さくなかったが、それが倍増した形だ。ただ、ロシア市場が縮小傾向にあるなかでのシェア拡大であることに留意する必要がある。

ロシアでも中国企業の勢力伸長を警戒する声がある。経済学者のオレグ・ヴューギン氏は、「ロシアが経済的に中国の衛星国になる」と話す。欧米企業は中国に工場やオフィスを設けたとき、ロシア人を含めた形で経営陣を形作ったが、中国企業のロシア事業経営陣はすべて中国人という。このため、相互に技術移管を行うような欧米企業とのような関係は望めないという立場だ。

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