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2010/1/6

経済産業情報

スマートメーター設置義務化、既存メーター交換コストは計70億ユーロに

この記事の要約

高機能型のデジタル電力メーター(スマートメーター)の設置を義務づける法律が1日ドイツで施行された。エネルギー効率とエネルギーサービスに関するEU指令(2006/32/EC)を受けたもので、当面は新築とエネルギー効率改善の […]

高機能型のデジタル電力メーター(スマートメーター)の設置を義務づける法律が1日ドイツで施行された。エネルギー効率とエネルギーサービスに関するEU指令(2006/32/EC)を受けたもので、当面は新築とエネルギー効率改善の目的で大幅改修を行う建物が対象となる。また、電力会社は使用する時間帯などに応じて料金が変わる変動料金体系を今年末までに導入しなければならない。

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スマートメーターは使用している電気製品の消費電力をリアルタイムで表示するもので、消費者の省エネ意識向上が期待できるほか、遠隔監視や自動検針が可能なため◇係員が検針のたびに各家庭を回る必要がない◇毎月検針ができる――などのメリットがある。

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エネルギー効率化・エネルギーサービスに関するEU指令には、エネルギー消費の節減に向け2020年までに全世帯の80%、2022年までには100%にスマートメーターを設置するとの規定が盛り込まれている。加盟国の中ではスウェーデン、イタリアなどが早くから取り組んでおり、スウェーデンでは09年7月から毎月1回の検針が義務づけられたことで、同メーターの普及が一気に加速した。一方イタリアでは、盗電の多発によって大きな経済的被害が出たことを受け設置が進んでいる。

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ドイツでは08年9月、スマートメーターの設置を義務づける初の法律が制定された。これまでのところ対象は新築と大規模改修家屋に限られているものの、連邦政府は来年3月までにEU指令により近い内容に改正する意向だ。

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ドイツ国内には電力メーターが4,200万台、ガスメーターが2,200万台設置されており、これらすべての交換に要するコストは計70億ユーロに上ると試算されている。これ以外にもスマートメーター対応の通信インフラ整備などで巨額の投資が必要となるため、消費者は何らかの形でコストを負担することになる。ただ、スマートメーター設置による省エネ効果で相殺できるため、「実質的な出費はほとんど変わらない」と専門家はみている。

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