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2010/1/13

総合 - ドイツ経済ニュース

英語での裁判、ドイツでプロジェクト始動

この記事の要約

ノルトライン・ヴェストファーレン州とハンブルク州の法務大臣はこのほど、英語による商業裁判の実現に向けた共同プロジェクトを発足させた。ドイツで事業を展開する外国企業の多くが、ドイツ語ができないとして最初から英語圏に係争を持 […]

ノルトライン・ヴェストファーレン州とハンブルク州の法務大臣はこのほど、英語による商業裁判の実現に向けた共同プロジェクトを発足させた。ドイツで事業を展開する外国企業の多くが、ドイツ語ができないとして最初から英語圏に係争を持ち込んでいる現状を改めたい考えで、国内で訴訟を起こしやすくする狙いだ。プロジェクトの第一弾として、ケルン高等裁判所(OLG Koeln)とその傘下の3つの地方裁判所で、今年初めから一部の民事裁判で英語による口頭審理をできるようにした。9日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

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ドイツの裁判所構成法(Gerichtsverfassungsgesetz)では、ドイツ語が訴訟言語と定められている。家事審判や非訟事件で、裁判官が当事者の使用言語を理解できる限りにおいてその言語で話せるなどの一部例外はあるものの、裁判記録や判決は全てドイツ語でなければならない。

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非ドイツ語圏から進出した企業にとってドイツ語での裁判は両言語に達者な弁護士や通訳・翻訳スタッフが必要になるなど大きな負担になる。一方、英語は国際ビジネス語としての地位を確立しているため、ドイツ企業が外国企業を訴えた(あるいはその逆)場合、外国企業側の要望を受けて最初から英語圏に係争が持ち込まれることが多い。結果として、ドイツ企業が関わる問題でありながら、裁判手数料や弁護士報酬などが全て外国に流れることになる。今回のプロジェクトは英語による裁判に道を開くことで、「司法の場としてのドイツ」の地位を向上させることが狙いだ。

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独裁判官連盟のブリギッテ・カンプハウゼン副会長は、「ドイツ語に翻訳することによって、多くのニュアンスや細かな違いが削り取られてしまうことをこれまでに何度も見てきた」と述べ、英語での裁判に歓迎の意を示した。また、裁判官の多くは国際的な法律事務所で職業研修を受けたり、英語圏で法学修士の学位を取得するなどしており、英語使用に問題はないと指摘した。

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