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2010/1/13

経済産業情報

ハイブリッドトラムで省エネ、ハイデルベルクで運行開始

この記事の要約

高性能バッテリーを搭載し架線なしでも走行できる路面電車(ハイブリッドトラム)が昨年12月、ハイデルベルクで営業運転を開始した。導入されたのはボンバルディア製の低床式路面電車で、架線のある区間では架線からの電気で走行すると […]

高性能バッテリーを搭載し架線なしでも走行できる路面電車(ハイブリッドトラム)が昨年12月、ハイデルベルクで営業運転を開始した。導入されたのはボンバルディア製の低床式路面電車で、架線のある区間では架線からの電気で走行すると同時にバッテリーに充電し、架線のない区間ではバッテリーからの放電で走行する。ハイブリッドトラムが本格運行するのはハイデルベルクが世界初という。

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ボンバルディアのハイブリッドトラムは、蓄電効率が非常に高い電気二重層コンデンサーを利用した電力貯蔵システム「MITRAC Energy Saver」を搭載している。MITRACは架線からの電力のほか、ブレーキや減速で生じるエネルギー(回生電力)も蓄え、バッテリー走行の際に利用する。これによって架線から取り入れる電力量を削減できるため、大幅な省エネが可能となる。

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路線を運営するライン・ネッカー交通(RNV)は本格導入に先立ち、ボンバルディアのバッテリー製造開発拠点があるマンハイムで4年以上にわたってテスト走行を実施。この結果、電力消費量は従来型のトラムに比べ走行時で30%、扉の開閉モーターや車内照明、冷暖房などの補助装置まで含めた総消費量でも20%節減できることが確認されたという。

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景観などの様々な事情から架線が敷設できない区間を走行できることも利点だ。RNVはハイデルベルク市のノイエンハイマーフェルト地区に敷設する新路線にハイブリッドトラム導入を予定している。同ルートの近くにはハイデルベルク大学物理技術研究所や鉱物研究所、ドイツがん研究センターがあるため、従来型トラムでは架線の電流で発生する電磁波が検査機器に影響を及ぼす恐れがある。この区間をバッテリー走行に切り替えれば電磁波の発生をほぼゼロに抑えられ、検査や研究の障害にならないという。

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高出力が必要な勾配区間や発車時にバッテリーを補助電源として使うことで電力負荷を平準化できるため、同トラムにはインフラ投資を低く抑えられるメリットもある。

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