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2010/1/20

経済産業情報

水素発生の緑藻、関与部分の分離に成功

この記事の要約

水素を生産するクラミドモナスという緑藻から水素生産に関与するタンパク質を分離し試験管内でプロセスを再現させることに、ボーフム大学のハッペ教授を中心とする共同研究チームが成功した。あわせて水素発生経路も詳細に解明できたこと […]

水素を生産するクラミドモナスという緑藻から水素生産に関与するタンパク質を分離し試験管内でプロセスを再現させることに、ボーフム大学のハッペ教授を中心とする共同研究チームが成功した。あわせて水素発生経路も詳細に解明できたことから、研究チームは高効率で水素を発生する品種への改良につながると期待を寄せる。

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緑藻の一種であるクラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii、和名:コナミドリムシ)は極めて単純な細胞構造を持つ真核光合成生物。無酸素下(嫌気下)で光照射するとヒドロゲナーゼという酵素を活性化させ、水素イオンから水素を発生させることが知られており、クラミドモナスによる水素生産の研究が世界中で行われている。ただ、水素発生はクラミドモナスが無酸素の環境で生命を維持するための“非常手段”であるため、実際の発生効率は低い。このため、遺伝子操作などによる品種改良によって水素発生能力を高める必要がある。

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ボーフム大学とミュンスター大学の共同研究チームは、クラミドモナスの水素発生に直接関与するタンパク質として、光化学系Iタンパク質複合体(PSI)、フェレドキシン(電子伝達体として機能)、 [FeFe]ヒドロゲナーゼ(水素の合成と分解を触媒)の3つを特定。それぞれを抽出・分離した後、光を照射しながら試験管の中で混合したところ、数分後には水素発生が確認できたという。

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同研究の成果は『Journal of Biological Chemistry』(第284巻52号)に掲載された。

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