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2010/2/10

総合 - ドイツ経済ニュース

原発稼働延長で与党内に摩擦

この記事の要約

原子力発電所の稼働期間延長をめぐり、独与党内に摩擦が生じている。ブリューデルレ経済相(自由民主党=FDP=)が原発の積極活用方針を示しているのに対し、レットゲン環境相(キリスト教民主同盟=CDU=)は6日付『南ドイツ新聞 […]

原子力発電所の稼働期間延長をめぐり、独与党内に摩擦が生じている。ブリューデルレ経済相(自由民主党=FDP=)が原発の積極活用方針を示しているのに対し、レットゲン環境相(キリスト教民主同盟=CDU=)は6日付『南ドイツ新聞(SZ)』掲載のインタビューで、原発は市民に受け入れられていないとして、延長期間は8年が上限だとの立場を表明した。与党3党(CDU、FDPおよびCDUの姉妹政党・キリスト教社会同盟=CSU=)は稼働延長を昨年秋の政権協定に盛り込んだものの、具体策の策定は今年秋まで先送りしており、今後、与党・政府内で論争が活発化しそうだ。

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ドイツでは2000年、社会民主党(SPD)と緑の党からなる中道左派のシュレーダー政権(当時)が電力会社と原発廃止協定を結び、原発の稼働期間を32年とすることが取り決められた。昨年成立した中道右派の現政権は原発廃止政策を継承しながらも、稼働期間は延長する方針を掲げている。

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ブリューデルレ経済相は稼働期間を可能な限り延長したい考えで、現行規定では廃炉を目前に控えた施設についても延長を認める意向を示している。一方、レットゲン環境相は原発を再生可能エネルギーに取って代わられる「つなぎのエネルギー」と位置付けるメルケル政権の基本認識を強調したうえで、原発は稼働期間40年を前提に作られているとして、延長期間を最大8年とする見解を示した。

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レットゲン環境相に発言に対しては、チューリンゲン州のリープクネヒト首相(CDU)やザールラント州のミューラー首相(CDU)が支持を表明した。ミューラー首相は原発稼働期間の延長決議に「ザールラント州は連邦参議院で賛成票を投じない」と明言している。

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一方、FDPのリントナー幹事長は「環境相は根拠のない不安に屈服している」と批判。CDUのクレッチュマー院内副総務も、安全性の高い原発は60年間、稼働させることも技術的に可能だと反論した。

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