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2010/2/10

ゲシェフトフューラーの豆知識

電力1.8セントの盗みで解雇は行き過ぎ

この記事の要約

少額物品の盗みを理由とする解雇の是非が社会的な関心を集めるなか、今度は私的利用を目的とした充電を会社で行い解雇された従業員が解雇の取り消しを求めて起こした裁判で判決言い渡しがあった。\ 原告は被告企業に19年間、勤務する […]

少額物品の盗みを理由とする解雇の是非が社会的な関心を集めるなか、今度は私的利用を目的とした充電を会社で行い解雇された従業員が解雇の取り消しを求めて起こした裁判で判決言い渡しがあった。

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原告は被告企業に19年間、勤務する40歳の男性社員。2009年5月に電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」を利用して出勤したところ、帰宅用の電力がなくなってしまったため、会社で約90分間、充電した。会社に与えた経済的な損失はわずか1.8セントだったが、これを知った雇用主から即時解雇を通告されたため提訴した。

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この係争で第1審のジーゲン労働裁判所が下した判決(訴訟番号:1CA 1070/09)は解雇無効だった。判決理由で裁判官は、現在の判例に従えば少額の盗みであっても原則として解雇は可能だとしながらも、解雇が適用されるのは「極端なケース」に限られると指摘。本件の原告は過去19年間、勤務上のトラブルを起こしたことも何らかの警告を受け取ったこともなかったとして、解雇は行きすぎだとの判断を示した。また、解雇を無効としたのは盗みの額が小さかったためではないことも付け加えた。

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