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2010/2/17

経済産業情報

後発薬めぐる訴訟、バイエルがインドで敗訴

この記事の要約

自社製医薬品の特許が有効であるにもかかわらずインド医薬品管理局(DCGI)が競合企業による後発医薬品の販売を承認したのは不当だとして独バイエルが起こしている係争で、デリー高等裁判所は9日、同社の控訴を棄却する判決を下した […]

自社製医薬品の特許が有効であるにもかかわらずインド医薬品管理局(DCGI)が競合企業による後発医薬品の販売を承認したのは不当だとして独バイエルが起こしている係争で、デリー高等裁判所は9日、同社の控訴を棄却する判決を下した。バイエルは最高裁に上告する意向だが、勝訴の可能性は低いもようだ。インドではスイスのロシュなども同様の裁判を起こしており、国外の特許薬メーカーの間には懸念が広がっている。独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が11日付で報じた。

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係争の対象となっているのはバイエルが開発したがん治療薬「Nexavar」。インドでは同医薬品の特許が2020年まで有効であるにもかかわらず、DCGIは08年、同国の製薬会社Ciplaが申請した同薬の後発医薬品の販売を許可した。

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裁判は第1審でバイエルが敗訴。今回の控訴審も同様の判決を下した。判決理由でデリー高裁の裁判官は、「DCGIは後発医薬品が特許を侵害しているかどうかの審査を義務づけられていない」との判断を示した。

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今回の判決を受け国際的な製薬会社の役員はHB紙に対し、インド政府は特許侵害の審査ルール制定に向け法改正に取り組むべきだとの立場を表明した。ただ、同国の製薬会社はすべて後発医薬品に特化しており、政府は医薬品の特許保護に消極的という。

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Ciplaはロシュのがん治療薬「Tarceva」についても後発医薬品の販売を許可されている。これに対しロシュは裁判を起こしたものの、これまでのところ敗訴判決しか出ていない。

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