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2010/2/24

経済産業情報

ケルン地下鉄工事、業者による手抜き工事が発覚

この記事の要約

1年前に起きたケルン公文書館の崩落事故との関連が疑われている市営地下鉄工事について、ケルン検察当局はこのほど、3工事現場の計28の土留壁(スラリーウォール)で計測データが改ざんされていたことを明らかにした。さらに、関係者 […]

1年前に起きたケルン公文書館の崩落事故との関連が疑われている市営地下鉄工事について、ケルン検察当局はこのほど、3工事現場の計28の土留壁(スラリーウォール)で計測データが改ざんされていたことを明らかにした。さらに、関係者の証言によって、現場統率者(棒芯)が必要な鉄骨の一部を抜き取ってスクラップ業者に売り払っていたことも発覚。工事の大部分を手がける建設大手Bilfinger Bergerは窮地に立たされている。

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『南ドイツ新聞』によると、地下鉄工事事故の調査を進めているケルン検察当局は昨年9月、複数の工事個所の計測データが不自然に似通っていることを発見した。偶然や過失によるものとは考えにくいことから、意図的なデータ改ざんの可能性があるとみて捜査を開始。今年1月には工事監督2人を計測データ改ざんの容疑で、2月にも棒芯と配下の従業員を横領の容疑で取り調べ始めたという。

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検察からの報告を受けてケルン市交通公社(KVB)が工事の調査を専門家に依頼した結果、一部の土留壁では「設計書の17%しか鉄筋が使われていなかった」事実が発覚し、関係者は強い衝撃を受けている。ただ、これらの地点の安全性は今のところ問題なしとの見方で専門家は一致しており、ライン川の急な増水などで崩落する危険性は差し当たりないという。

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地下鉄工事の中心になっているBilfingerは工事監督など3人を停職にするなど、スキャンダルによる被害を最小限に抑えることに躍起だ。ただ、地下鉄工事に関連して取り調べを受けている容疑者の証言から、同社が敷設したドイツ鉄道(DB)の高速列車(ICE)路線でも同様のデータ改ざんが行われた疑惑が浮上。さらに苦しい立場に立たされている。

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