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2010/3/3

企業情報

Merck KGaA―米Milliporeを買収へ、化学事業の多角化目指す―

この記事の要約

製薬・化学大手の独Merck(ダルムシュタット)は2月28日、バイオサイエンス分野の製品・サービスを提供する米Milliporeを買収すると発表した。ライフサイエンス産業向けの事業を強化することで液晶への依存度の高い化学 […]

製薬・化学大手の独Merck(ダルムシュタット)は2月28日、バイオサイエンス分野の製品・サービスを提供する米Milliporeを買収すると発表した。ライフサイエンス産業向けの事業を強化することで液晶への依存度の高い化学事業の多角化を図る狙い。買収計画はMillipore経営陣に支持されており、今後、株主と独禁当局の承認を経て下半期にも成立する見通しという。

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Milliporeを債務も含めて72億ドル(53億ユーロ)で買収する計画で、株主に対しては1株当たり現金107ドルを支払う。株式買い取り価格は26日の終値を13%上回り、買収総額はMilliporeの売り上げの4倍強、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の18倍、最終利益の約40倍に上る。アナリストらは買収戦略については正しいとしながらも、取引金額が高すぎると指摘している。今回の取引はMerckにとって2006年のSerono買収(106億ユーロ)に次ぐ2番目の規模で、同社は手持ち資金と銀行融資で賄う意向だ。

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Milliporeはバイオ医薬品の開発に必要なフィルターなどの製品とともに各種のサービスを手がけるソリューション型の企業で、09年の売上高は16億5,000万ドル(12億ユーロ)に上った。世界30カ国以上に進出しており、従業員数は約6,000人。

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Merckは同社を買収することでライフサイエンス企業向け事業の売上高を約21億ユーロに拡大。売上高に占める化学事業の割合を現在の25%から35%に高める意向だ。シナジー効果は買収後3年目から年7,500万ユーロを見込む。

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