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2010/3/3

経済産業情報

無賃乗車も“市民的不服従”?

この記事の要約

ドイツには改札がないため、乗客がチケットを持っているかどうかをチェックする専門の職員がおり、市電や地下鉄などに突然乗り込んで検札を行う。大抵は誰かがこの網にかかり、数十ユーロの罰金を支払うはめになる。車内には「ごめんなさ […]

ドイツには改札がないため、乗客がチケットを持っているかどうかをチェックする専門の職員がおり、市電や地下鉄などに突然乗り込んで検札を行う。大抵は誰かがこの網にかかり、数十ユーロの罰金を支払うはめになる。車内には「ごめんなさいは通用しません」などの掲示が張られていることが多く、うっかり定期を家に忘れてきた場合でも容赦されることはまずない。

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このルールに「正面から」挑戦を挑み「英雄」になろうとした男がいる。シルヴィオ・Bという生活保護(正確には長期失業者などが受け取る第2種失業手当)の受給者である。この男性に対しハンブルク区裁判所は2月24日、科料500ユーロと無賃乗車の罰金支払い、および裁判費用の負担を命じる判決を下した。

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独メディアによると、Bは無賃乗車で3度捕まったにもかかわらず罰金支払いを拒否したため起訴された。普通の人なら当然の措置と思うだろうが、Bは違法行為を行っていないと主張、容疑を全面的に否定した。

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裁判では、乗車の際は大きな字で「私は無賃乗車しています」と書かれたTシャツを誰もが分かるように着ており、交通サービス商品をこっそりだまし取ろうとしていなかったのは明らかだと断言。ここから自分が無実であるとの結論を導き出した。

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判決当日はそのTシャツを持参したうえで、報道陣の前で「裁判では“市民的不服従”を示してみたい」と言ってのけた。この自信はいったいどこから来るのだろうか、、、。

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しかしまあ、裁判でこんな論理が通用するはずもなく、Bにとっては手痛い判決が下された次第である。

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それにしてもである、、、。これだけの情熱を費やすエネルギーと屁理屈をこねるだけの頭脳があるのならば、せめてその一部を就職活動などに回してほしいものである。毎日あくせく働きこの国の重い税負担を担っている者であれば、誰もがそう思うのでなかろうか。

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