企業が長く存続しているのは現在と過去の従業員の献身のたまもの――。そう考えれば、OB・OGとなった元社員に感謝の気持ちを示したいという気持ちが経営者の心のなかで自然とわいてくるものかも知れない。しかし、そうした気持ちで「善行」を行っても必ずしも報われるとは限らないようだ。退職した企業年金受給者にかつての雇用主が長年支払ってきたクリスマス手当(Weihnachtsgratifikation)をめぐる訴訟からそうした印象を受けた。
\雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が16日発表したプレスリリースによると、裁判は被告企業を退職した年金生活者が起こしたもの。同社では企業年金を受給するOB・OGに対し10年以上にわたって毎年クリスマス手当を支給してきた。その額は当初が500マルクで、ユーロ導入後はほぼ同額の250ユーロとなった。
\同社はある年(判決文が未公開のため不明)、退職者に対するクリスマス手当を4年後から打ち切ることを通告。その際、支給は任意で行っているものだとの立場を明らかにした。
\これに対しOGの1人が不服を表明し、裁判を起こした。原告は第1、2審でともに勝訴、最終審の連邦労裁も下級審と同様の判決(訴訟番号:3 AZR 123/08)を下した。
\判決理由で連邦労裁の裁判官は、企業年金受給者に3年連続無条件でクリスマス手当を支給すれば、受給者には4年目以降も支給を受ける既得権が発生すると指摘。既得権が発生した後で雇用主が◇手当の支給は任意だ◇今後は支給を止める――と主張しても無効だとの判断を示した。
\BAGは現役社員のクリスマス手当に関しても2009年3月、02年1月に施行された改正債務法の規定に基づき同様の判決(訴訟番号:AZR 281/08)を下している。
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