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2010/3/3

経済産業情報

イスラエル占領地区の製品は優遇関税適用外=欧州司法裁

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は2月25日、独浄水器製造大手のBritaがイスラエル占領下のユダヤ人居住地から輸入した製品は「イスラエル製には当たらない」として、同国からの輸入品に適用される関税優遇は受けられ […]

欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は2月25日、独浄水器製造大手のBritaがイスラエル占領下のユダヤ人居住地から輸入した製品は「イスラエル製には当たらない」として、同国からの輸入品に適用される関税優遇は受けられないとの判決を下した(訴訟番号:C-386/08)。ECJの法務官が昨年11月に示した見解に沿った判決となった。

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問題となったのはイスラエルのSoda-Club(テルアビブ近郊エアポートシティ)社が製造する炭酸水製造器。同社製品の独輸入代理店であるBritaは2002年、同製品は「イスラエル当局によって“Made in Israel”の認証を得ている」として、ハンブルク税関に一旦支払った関税(1万9,155ユーロ46セント)の還付を申請した。

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しかし、正確な原産地が不明だったため、ハンブルク税関がイスラエル税関当局に照会したところ、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区にあるユダヤ人居住地マアレ・アドゥンミーム(Ma’ale Adumim)の工場で生産されていたことが判明。ハンブルク税関は「占領地区はイスラエル領ではない」として還付申請を却下した。

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Britaはこれを不服としてハンブルク財務裁判所に提訴。同裁判所はEU法に関する案件だとしてECJの判断を仰いだ。

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ECJの裁判官は、欧州連合(EU)がイスラエルの領土と認めているのは第三次中東戦争(1967年)以前の国境ラインだと指摘したうえで、イスラエルが同戦争以来占領しているヨルダン川西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原、東エルサレムはEUとイスラエルが結ぶ関税協定の対象外との判断を示した。

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今回の判決は政治的に大きな関心を呼び起こしている。EUがイスラエルのユダヤ人入植政策を間接的に「不法」と宣言したことになるためだ。イスラエル外務省は「判決文を読んでいないのでコメントできない」としている。

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