電機大手の独Siemens(ミュンヘン)が進めていた補聴器子会社Siemens Audiologische Technik(SAT)の売却交渉が失敗したもようだ。独メディアが15日、関係者の情報として報じたもので、取引金額で折り合いがつかなかったという。SiemensはSATを当面、手元に残したうえで、中期的に売却の可能性を模索していく。
\Siemensは事業再編の一環でSATの放出を決めた。補聴器市場は将来性が高いものの、Siemensは一般消費者向け事業から撤退する方針のため、SATの売却手続きを昨年12月に開始した。
\売却金額として最低20億ユーロのラインを設定し、これをクリアした金融投資家と企業連合の計4者を交渉対象に絞り込んだ。だが、SAT経営陣が行ったプレゼンテーションで過去2年間の業績が競合よりも悪く、市場シェアを落としていることが分かったため、応札4者は提示額を15億~16億ユーロに減額。交渉の決裂に至ったという。
\SATの業績が思わしくなかったのはSiemensが研究開発や販売網強化に向けた投資を抑制したためで、Siemensはこれを踏まえ今後5年間で計5億ユーロを投資するもようだ。
\補聴器市場は今後、年4~7%の成長が見込まれている。現在はSATとDemant、Sonova、Widex、GN Resoundの5社が計95%のシェアを握る。
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