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2010/3/17

経済産業情報

バイエルとメルク、製薬事業に共通点

この記事の要約

2006年に製薬会社シエーリングの買収合戦を繰り広げたバイエル(レバークーゼン)とメルク(ダルムシュタット)。両社の製薬事業には共通点が多く、現在に至っても「ライバル関係」が続いているようだ。経済紙『ハンデルスブラット』 […]

2006年に製薬会社シエーリングの買収合戦を繰り広げたバイエル(レバークーゼン)とメルク(ダルムシュタット)。両社の製薬事業には共通点が多く、現在に至っても「ライバル関係」が続いているようだ。経済紙『ハンデルスブラット』紙が15日付で報じた。

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バイエルは06年6月、競合メルクとの買収合戦の末に同業シエーリングを取得した。敗れたメルクは同年9月、スイスのバイオテクノロジー企業セローノを買収している。

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バイエルとメルクはこの大型買収以前、いずれもがん治療薬を主軸に据えていた。買収後もそれぞれの新会社であるバイエル・シエーリング・ファーマとメルクセローノは多発性硬化症薬(MS)治療薬が最大の稼ぎ頭となっている。また、バイエル・シエーリングは避妊薬、メルクセローノは不妊治療薬と方向性は全く逆ながら、妊娠関連の薬が主力製品の1つであることも共通する。

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買収によるシナジー効果を営業利益率(EBITベース)で比較すると、メルクセローノの6.3%に対しバイエル・シエーリングは16.2%(いずれも06~09年の平均)で、バイエル側に軍配が上がる。ただ、メルク側の営業利益率が低いのはセローノ買収に伴い多額の無形資産償却を行ったため。この分を差し引いた利払い・税金・減価償却前利益(EBITDA)ベースで比較するとバイエルが27.8%、メルクが24.5%となり、その差は大幅に狭まる。

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売上高に対する研究開発費の比率はメルクが23.7%、バイエルが15%で、メルクの方が圧倒的に高い。ただ、投資規模と成功の度合いをみるとメルクの歩は悪く、同社のがん治療薬「Erbitux」やMS治療薬「Cladribine」は昨年、薬効について立て続けに否定的な調査結果が出された。一方、バイエルは開発薬の有効性に疑問が付されるなどの打撃を受けていない。

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