欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2010/3/24

総合 - ドイツ経済ニュース

銀行税導入へ、基金設立し将来の金融リスクに対応

この記事の要約

独政府与党3党は21日、銀行税を導入することで合意した。同税の税収をもとに基金を設立し、将来の金融危機に銀行業界が自力で対応できる体制を整えることが狙い。政府は同構想の草案を早ければ3月末の閣議で了承する見通しだ。\ 2 […]

独政府与党3党は21日、銀行税を導入することで合意した。同税の税収をもとに基金を設立し、将来の金融危機に銀行業界が自力で対応できる体制を整えることが狙い。政府は同構想の草案を早ければ3月末の閣議で了承する見通しだ。

\

2007年の米サブプライムローン問題をきっかけに始まった金融危機はドイツにも波及し、政府は融資保証や資本注入、不良有価証券の買い取りなどの形で巨額支援を実施した。大手金融機関が経営破たんすると金融システムが根底から揺らぎ、実体経済に甚大な影響をもたらす恐れがあったためだ。政府はこの教訓を踏まえ、将来、経済危機が起きた場合は銀行業界に責任を取らせる方向で検討を進め、銀行税構想にたどり着いた。

\

同構想の具体的な内容は明らかにされていないが、マスコミ報道によると、基金の規模は国内総生産(GDP)の1~2%、金額にして250億~500億ユーロを想定しており、銀行業界は年10億ユーロずつ積み立てていくという。

\

各銀行の負担額は業務のリスク度に応じて異なってくる。このため、リスクの小さい預金・貸し出し業務を中心とする貯蓄銀行と信用組合では拠出額が少なく、リスクの大きい投資銀行業務を手がける金融機関では多くなる方向だ。保険会社には同税が課されないもよう。

\

銀行税が導入されると、金融機関が融資抑制に走り、実体経済に悪影響をもたらす恐れが出てくる。経済界はこうした事態に発展することがないようくぎを刺しており、ショイブレ財務相は配慮する意向を示した。

\

政府は当初、国際金融取引税(トービン税)を導入し、投機活動で金融危機を引き起こした銀行や投資ファンドなどに相応のコスト負担を求める意向を示していた。だが、同税は世界レベルで実現しないと意味がないため現実味が薄く、政府は銀行税構想に切り替えた。同様の構想は米オバマ政権も打ち出している。

\