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2010/3/24

企業情報

Siemens AG―水道事業を強化―

この記事の要約

電機大手のSiemens(ミュンヘン)が水道事業を強化する。景気悪化の影響で多くの産業部門が低迷するなか、急成長が続く水道市場でシェアを拡大し収益源を確保する狙いだ。今年は業界平均の2倍に当たる10%以上の成長を目指す。 […]

電機大手のSiemens(ミュンヘン)が水道事業を強化する。景気悪化の影響で多くの産業部門が低迷するなか、急成長が続く水道市場でシェアを拡大し収益源を確保する狙いだ。今年は業界平均の2倍に当たる10%以上の成長を目指す。企業買収による拡大も視野に入れているものの小規模買収がメインで、大型買収については「当面ない」としている。同社の産業ソリューション部門を統括するイェンス・ヴェークマン最高経営責任者(CEO)が16日の記者会見で明らかにした。

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世界の水道市場規模は推定4,666億ドルで、Siemensの水道事業の主軸である上下水道プラント設備・装置・サービス部門はこのうちの440億ドルを占める。同社は2004年に米水処理大手US Filterを買収して水道事業に参入した後発組だが、2009年度決算では売上高が2ケタ増の22億ユーロに拡大するなど急成長が続いている。ヴェークマンCEOによると、仏Veoliaや米General Electric(GE)、栗田工業、米Danaherなどの競合をしのぐ「業界最大手企業」という。

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水道市場は寡占が進んでおらず、『南ドイツ新聞』によると大手5社の合計シェアは10%に過ぎない。Siemens自身も小型買収を繰り返して事業規模を拡大しており、結果として事業範囲が重複するなど無駄の多さが問題になっている。同社は現在、水道事業の統廃合による効率改善に取り組んでおり、「大型買収はこの手間をさらに増やすことになるため、当面考えられない」としている。

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