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2010/3/24

経済産業情報

プリンター・コピー機の微細粒子、研究チームが遺伝子変異原性を確認

この記事の要約

フライブルク大学病院の研究チームは、レーザープリンターやコピー機から排出される微細粒子が遺伝子の突然変異を引き起こす(変異原性がある)ことを実験で突き止めた。ただ、変異原性のある物質が特定できないなど未解明な点も多く、さ […]

フライブルク大学病院の研究チームは、レーザープリンターやコピー機から排出される微細粒子が遺伝子の突然変異を引き起こす(変異原性がある)ことを実験で突き止めた。ただ、変異原性のある物質が特定できないなど未解明な点も多く、さらなる研究が必要だとしている。

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同大学病院付属環境学研究所のフォルカー・メルシュズンダーマン教授を中心とする研究チームは、レーザープリンターとコピー機あわせて6モデルを外界から遮断した室内で稼働させ、排出された微細粒子をヒトの肺細胞に曝露させた。この結果、4モデルでは特に問題がなかった一方、2モデルでDNA損傷が確認された。

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ただ、この結果からそのまま「プリンターやコピー機の使用は人体に有害」との結論を引き出すことはできないとメルシュズンダーマン医局長は指摘する。その理由として◇DNAが変異しても自己修復あるいはアポトーシス(細胞死)によって有害な作用を防ぐ可能性がある◇実験に使用された空間は人工的に制御された環境で、実際のオフィス環境と大きく異なる◇突然変異を引き起こす可能性があるのは直径10~1,000ナノメートルの微小粒子で、トナーに由来するものとは考えにくい――ことを挙げる。特に最後の点は問題で、「トナーの色、プリンターの使用年数、メンテナンスや使用の頻度、あるいは印刷に使用する紙など、ありとあらゆる要素が原因として考えられる。また、微粒子についても大きさ、表面(分子)構造、電子配置、構成物質など、さまざまな可能性がある」として、謎の解明にはさらに多くの研究が必要との見解を示した。

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