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2010/3/31

企業情報

Thyssenkrupp Marine Systems AG―子会社Blohm+Vossを売却―

この記事の要約

Thyssenkruppの造船部門Thyssenkrupp Marine Systems(TKMS、ハンブルク)の監査役会は24日、造船子会社Blohm+Voss(B+V)をアラブ首長国連邦アブダビ首長国の同業 Abu […]

Thyssenkruppの造船部門Thyssenkrupp Marine Systems(TKMS、ハンブルク)の監査役会は24日、造船子会社Blohm+Voss(B+V)をアラブ首長国連邦アブダビ首長国の同業 Abu Dhabi MAR Group(ADM)に売却する計画を承認した。従業員側も「会社存続の唯一の可能性」として今回の決定を歓迎している。

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TKMSは昨年10月、B+Vの大型ヨット部門(Shipyards)、修理部門(Repair)、機械部門(Industries)について資本の80%をADMに譲渡するほか、軍用船事業を折半出資の合弁会社に移管することで基本合意していた。

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世界的な経済危機のあおりを受けて、造船業界は受注が減少するなど苦戦を強いられている。経済紙『ハンデルスブラット』によると、TKMSは2009年9月通期決算で5億ユーロの赤字を計上した。TKMSが1877年創業の老舗であるB+Vの売却に踏み切ったのは、◇受注の回復が当面期待できずこのままではグループ全体の足を強く引っ張りかねない◇ADMに富裕層の顧客が多く販路の確保が見込める――という事情がある。労働組合IG Metallの関係者も「B+VがTKMSの傘下にとどまれば、拠点の閉鎖や従業員の削減が避けられなくなる」と述べ、ADMへの売却で未来へのチャンスが生まれたと評価した。

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