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2010/3/31

経済産業情報

独工作機械業界、アジア勢の追い上げに危機感

この記事の要約

独工作機械業界がアジア勢の追い上げに危機感を募らせている。アーヘン工科大学(RWTH)工作機械製造研究室(WZL)のギュンター・シュー教授は、需要低迷が続くなかでアジア企業との価格競争にさらされるドイツの工作機械メーカー […]

独工作機械業界がアジア勢の追い上げに危機感を募らせている。アーヘン工科大学(RWTH)工作機械製造研究室(WZL)のギュンター・シュー教授は、需要低迷が続くなかでアジア企業との価格競争にさらされるドイツの工作機械メーカーを「3つ星ホテルに顧客をとられた5つ星ホテル」に例えた。ドイツ工作機械・鋳型製造連合会(VDWF)によると、アジアの人件費はドイツより最大3分の1安いうえ、製品の品質も年々向上している。機械専門サイト「MMマシーネンマルクト」が報じた。

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ドイツ企業にとって特に大きな脅威となっているのは、この10年で製品面のほかブランド戦略でも大きく飛躍した韓国メーカー。Doosan Infracore、Hankook、Hwacheon、Taegutecといったメーカーはドイツの金属加工業界でも顧客数を着実に増やしている。Hankookは2月末にデュッセルドルフで開催された「国際金属加工機械・技術見本市(METAV 2010)」に250トンの巨大旋盤を展示し、訪問者の関心を集めた。この旋盤は見本市の終了後に独フランジメーカーKiel Flanschen(ジーゲン)に納入された。Hwacheonの旋盤をドイツで販売するHommel Gruppe(ボーフム)によると、国内の販売先は700社を超えるという。韓国製は◇品質が高いうえに日本製よりも10~20%安い◇汎用機の納入期間が50日以内と短い――ことも魅力となっている。

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ドイツ機械工業連盟(VDMA)で工作機械を担当するエンゲルベルント・アダム理事は、アジア企業との競争に勝ち抜く対策として、顧客層の拡大や新市場の開拓、独自の刷新技術の開発、オートメーション化による生産効率の向上など、従来からの基本原則を改めて強調。WZLのシュー教授は、顧客が何に対していくら支払う用意があるか知ることも重要だと指摘した。

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