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2010/3/31

経済産業情報

デジタル情報社会、ドイツ人の過半数は“部外者”

この記事の要約

情報技術推進団体「Initiative D21」はこのほど、デジタルメディア利用に関するアンケート調査結果を発表した。それによると、パソコンやインターネットなどのデジタル機器・メディアを全く、あるいはほとんど利用しないド […]

情報技術推進団体「Initiative D21」はこのほど、デジタルメディア利用に関するアンケート調査結果を発表した。それによると、パソコンやインターネットなどのデジタル機器・メディアを全く、あるいはほとんど利用しないドイツ人(14歳以上)は全体の65%で過半数を占めた。職場で利用しているのは9%、職場(あるいは学校)と自宅の両方で頻繁に利用するのは4人に1人(26%)に過ぎず、DSL回線やパソコンなどの「インフラの普及」と「実際の利用」には大きな隔たりがあることが浮き彫りになった。

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Initiative D21は世論調査会社TNS Infratestに委託して、14歳以上のドイツ人1,014人を対象に電話インタビューによるアンケート調査を実施。デジタル機器の保有状況、インターネット接続の有無、利用しているオンラインコンテンツやPCの機能(プレゼンテーション、表計算、プログラミングなど)のほか、「パスワード保護」「IPアドレス」などデジタルメディアに関連する知識の有無などを質問した。

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デジタル機器・メディアを全く利用していない人(「デジタル・アウトサイダー」)は全体の35%に達した。高齢者が主で、男女別では女性が6割以上を占めた。このグループでは失業者も多く、他のグループに比べ学歴や所得の低さが目立つ。また、デジタル機器・メディア利用に関する考えでは「メリットはない」「使うのが不安」など否定的な見解が圧倒的に多い。パソコンとプリンターを保有しているのは4人に1人、自宅にインターネット接続回線があるのは7人に1人で、全体の普及率を大きく下回っている。

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デジタル機器・メディアを「ごくたまに利用する」グループは全体の3割に上った。このグループではほぼ全員(98%)がPCまたはノートパソコンを保有、自宅のインターネット普及率も94%と高い。一方で、運用能力はテキスト作成やメールなど基本的な操作に限られるほか、デジタルメディアに関する知識ではとくにセキュリティへの意識の低さが顕著だった。

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Initiative D21の担当者は、「デジタル情報社会への移行が叫ばれて久しいにもかかわらず、ドイツ人の過半数がデジタル情報社会から取り残されている実態は驚きだった」とコメントした。

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