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2010/5/5

総合 - ドイツ経済ニュース

電気自動車サミット開催、バッテリーが最大テーマに

この記事の要約

電気自動車(EV)の分野で世界トップになることを目指しドイツ政府が立ち上げた「エレクトロモビリティ・サミット」の初会合が3日、開催され、メルケル首相を中心に産業界、学会、自治体、消費者団体の代表が活発な意見を交えた。今後 […]

電気自動車(EV)の分野で世界トップになることを目指しドイツ政府が立ち上げた「エレクトロモビリティ・サミット」の初会合が3日、開催され、メルケル首相を中心に産業界、学会、自治体、消費者団体の代表が活発な意見を交えた。今後はEV普及に向けた課題を新設した7つの部会が検討し今秋に中間報告を発表。政府はそれを踏まえ、補助金を含めた国家戦略の具体策を練り上げていく意向だ。次回サミットは1年後の開催を予定している。

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参加者は計2時間、協議を行った。そのなかで最大のテーマとなったのはバッテリーで、話し合いに45分が費やされたという。

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バッテリーは電気自動車でカギを握る部品。現在は蓄電能力の低さや重量、高価格がネックとなりEV需要の障害となっている。このため政府は昨年打ち出したEV普及支援プログラム(Nationaler Entwicklungsplan Elktromobilitaet)でバッテリーの研究開発に総額1億7,000万ユーロの大きな予算を付け、普及のバックアップに乗り出した。

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バッテリーの分野では日本が先行しており、ドイツ電気技術者連合(VDE)が電機メーカー1,300社と研究機関を対象に実施したアンケート調査では、業界関係者や専門家もそのような認識を持っていることが裏付けられた。ドイツは規格や法的枠組み、人材不足が足かせとなり遅れをとっているとVDEは指摘する。今回新設された7部会のなかにはバッテリー部会もあり、ここでどのような提言がなされるかが注目される。

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産業界はサミット開催前、政府に対し新たな補助金を導入することを強く求めた。電気自動車の分野で主導権を握ろうとする国の多くは補助金で産業界にテコ入れをしているためだ。

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隣国フランスは4月中旬、充電スタンドを含むインフラの整備に2020年までに総額55億ユーロを投じることを明らかにした。同国の民間・公的企業20社もルノー、PSAなどの国内メーカーに電気自動車を計5万台発注するといい、ドイツの経済界は後手に回ることを懸念しているようだ。(グラフを参照)

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だが、政府は今回のサミットで補助金に関する問題を一切、テーマとしなかった。背景には◇景気対策で国の債務が膨らんだため、来年から歳出削減に乗り出す◇EV普及に向けた包括的な具体策をまとめ上げないことには補助金額を算定することもできない――といった事情がある。電気自動車の購入補助金導入を見送ったのは、国内メーカーのモデルがない現時点では産業育成効果がないと判断したためとみられる。

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