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2010/5/5

総合 - ドイツ経済ニュース

ギリシャ支援法案、7日成立の見通し 12年末までに最大224億ユーロ

この記事の要約

ドイツ政府は3日の閣議で、財政破たんの危機に直面するギリシャへの支援法案を了承した。2012年末までに最大224億ユーロを融資する計画。ギリシャは総額85億ユーロの国債償還を5月19日に控えているため、独政府は緊急立法手 […]

ドイツ政府は3日の閣議で、財政破たんの危機に直面するギリシャへの支援法案を了承した。2012年末までに最大224億ユーロを融資する計画。ギリシャは総額85億ユーロの国債償還を5月19日に控えているため、独政府は緊急立法手続きを適用し支援法案を連邦議会と連邦参議院で7日に成立させる意向だ。

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ギリシャ政府は国債利回り(リスクプレミアム)が急上昇したことを受け4月23日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に支援を要請した。これを受けギリシャと欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFの4者は支援の具体策や条件の協議を開始。ドイツ政府はこの間、支援の確約を保留することで抜本的な財政再建策の策定をギリシャに迫るとともに、支援に否定的な国内世論の説得を続けてきた。

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ギリシャ政府が欧州委やIMFと合意した支援・再建案は◇ユーロ加盟国が最大で計1,100億ユーロ、IMFが同300億ユーロを融資する◇ギリシャも2013年末までに財政赤字を計300億ユーロ圧縮し、国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率を2014年までに09年の13.6%から3%未満に引き下げる――というもので、独政府は「このプログラムが機能すれば(融資が焦げ付いて)ドイツの納税者がしわ寄せを受けるといった事態にはならない」(ショイブレ財務相)と判断。ギリシャ支援に踏み切ることにした。

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ドイツは政策金融機関KfWを通してギリシャへの融資を実施する。国(連邦)はこれに公的保証を付けるにとどまるため、融資を回収できれば、納税者負担は発生しない。

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メルケル独首相は「単にギリシャを助けるだけでなく、ユーロの安定性も維持する」ことが支援の狙いだと明言し、国民に理解を求めた。また今回の危機で投機や格付け引き下げが金融市場の不安定化をもたらしたことや、ユーロの不備が明らかになったことも指摘。投機規制や欧州独自の格付け機関の設立、ユーロ安定成長協定の見直しに意欲を示した。

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ギリシャに対しては金融業界も自主的な支援を行う考えで、現在、ドイツ銀行のアッカーマン頭取が調整役となり大手企業の首脳に直接電話するなどして参加を呼びかけている。ギリシャ国債の購入や同国の政府・金融機関への融資枠維持などを通して実施する方向だ。銀行や保険会社が支援に加われば、国の負担はその分軽減されるため、メルケル首相は歓迎の意を示した。

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ギリシャ政府の財政引き締め方針に対しては同国の国民が強く反発し、連日、大規模なデモが起きている。ショイブレ財務相はこれに関し「身の丈を超える生活をしてきたつけだ」と述べ、国民が財政再建の大きな負担を引き受けるのは当然だとの認識を示した。

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