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2010/5/5

経済産業情報

独高級車メーカー、炭素繊維大手との提携相次ぐ

この記事の要約

ドイツの高級車メーカーが炭素繊維の活用に本腰を入れ出した。ダイムラーは4月28日、東レと炭素繊維複合材料(CFRP)を共同開発する契約を締結。BMWも4月上旬、炭素製品大手の独SGLグループと合弁会社を設立し、米国に炭素 […]

ドイツの高級車メーカーが炭素繊維の活用に本腰を入れ出した。ダイムラーは4月28日、東レと炭素繊維複合材料(CFRP)を共同開発する契約を締結。BMWも4月上旬、炭素製品大手の独SGLグループと合弁会社を設立し、米国に炭素繊維の工場を建設すると発表した。炭素繊維は強度が高く軽量なため、自動車部品の材料に使用すれば車両を軽量化でき、燃費改善と二酸化炭素(CO2)の排出量削減が可能になる。大型モデルが多い高級車メーカーは炭素繊維を活用し環境規制の厳格化に対応していく戦略だ。独経済紙『ハンデルスブラット』紙(4月29日付)が報じた。

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ダイムラーは今後3年以内にメルセデス・ベンツの量産車に東レと共同開発するCFRP部品を導入する計画。市場関係者はまず「SLクラス(スポーツカー)」の新モデルに採用されると予想している。同社は最終的には全てのモデルにCFRP部品を導入し、ホワイトボディの重量を先代モデルに比べ最大10%削減する方針だ。

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東レは炭素繊維の生産で世界最大手。米航空機大手ボーイングの次期主力旅客機「B787(通称ドリームライナー)」の機体向けなどにCFRPを納入している。自動車部品を開発するのは今回が初めてとなる。広報担当者は生産に参入する計画は当面ないとしたものの、将来的にダイムラーと合弁会社を設立する可能性を否定しなかった。

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SGLと提携したBMWは北米の合弁工場で生産した炭素繊維をドイツの工場で加工し、2013年までに市場投入する予定の新シリーズ「メガシティ・ビーイクル」に採用する計画。ボディ全体に炭素繊維を組み入れるという。

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ただ、専門家の中には、ボーイングB787などの例を挙げ、炭素繊維の採用で製造コストが大幅に膨らむという問題点を指摘する向きもある。自動車への採用にはコスト削減が欠かせないもようだ。

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