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2010/5/12

経済産業情報

次世代発電所向け新素材、独日3社が共同開発

この記事の要約

独鉄鋼最大手ティッセンクルップの素材開発子会社VDMは、提携先の独エネルギー大手エーオン、日立パワーヨーロッパと共同で次世代発電所向けの新素材を開発した。次世代発電所は蒸気の温度を従来の600度から700度に引き上げて発 […]

独鉄鋼最大手ティッセンクルップの素材開発子会社VDMは、提携先の独エネルギー大手エーオン、日立パワーヨーロッパと共同で次世代発電所向けの新素材を開発した。次世代発電所は蒸気の温度を従来の600度から700度に引き上げて発電効率を高めるのが特徴で、これにより二酸化炭素(CO2)の排出量が抑制される。開発した新素材は「Alloy 617 B occ(VDM社のNicrofer 5520 occに相当)」と呼ばれる強度と延性に優れたニッケル合金で、700度の超高温発電に耐えることができる。将来は次世代発電所の鋼管やバルブに使用されるほか、板金としても利用される見通しだ。

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VDMによると、新素材の最大の特長は真空で溶錬、再溶解できる製造過程にある。これにより空気中の不純物を排除できるため、ホウ素など規制物質の含有率を最小限に抑えられる。また、モリブデンや炭素の含有量を最適にし、同じ強度のままで容易に溶接できるという。

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VDMなど提携3社は、新素材のラボ実験と並行して、2012年からは同素材を利用したデモ発電所のテスト運転を開始する計画。テスト運転で新素材の効果が証明されれば、実用化に道が開ける。関係者は2020年までに700度の超高温発電所の建設が始まると見込んでいる。

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