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2010/5/19

企業情報

Salzgitter AG―利益見通し引き下げ―

この記事の要約

独鉄鋼2位メーカーのSalzgitter(ザルツギター市)は12日の決算発表で、2010年12月通期の税引き前利益見通しを下方修正した。鉄鉱石の調達交渉がこれまでの年1回から四半期ごとに改められたことでコスト上昇が避けら […]

独鉄鋼2位メーカーのSalzgitter(ザルツギター市)は12日の決算発表で、2010年12月通期の税引き前利益見通しを下方修正した。鉄鉱石の調達交渉がこれまでの年1回から四半期ごとに改められたことでコスト上昇が避けられなくなったためで、「1,000万ユーロのケタ台の利益」を確保するとしていた従来予測を「収支トントン程度」に変更した。

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川上の鉄鉱石各社は今春、鉄鋼メーカーとの価格交渉を4半期ごとに改めることを強く要求し貫徹した。需要の変化に敏感に反応するスポット価格に契約価格を近づけることが狙いだ。

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だが、スポット価格は現在、1年前の2倍以上に上昇しているため、鉄鋼メーカーにとっては調達コストの大幅上昇を意味する。鉄鋼各社が同コストを川下の自動車、電機メーカーなどに転嫁するには時間がかかるため、Salzgitterは当面、原価割れ生産を余儀なくされると判断した。同社の広報担当者はバルト海ガスパイプライン向けの鋼管で特に痛手が大きいとしている。

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Salzgitterの2010年1-3月期(第1四半期)の最終損益は1,330万ユーロの赤字で、前年同期(7,410万ユーロの赤字)に引き続き利益を確保できなかった。リストラ関連の引当金(1,970万ユーロ)と鉄鉱石調達価格の上昇に伴う引当金(2,770万ユーロ)が響いた。需要自体は回復しており、営業損益(EBITベース)は前年同期の赤字(8,150万ユーロ)から530万ユーロの黒字に転換した。

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売上高は前年同期比12.3%減の19億2,480万ユーロ。経済危機で低下した鉄鋼、鋼管などの価格の回復が鈍いことが響いたという。

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